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1時間で学べる!研究開発を軸にした新規事業の立ち上げと推進 [オンラインセミナーレポート]

多くの企業が新規事業創出に取り組んでいますが、成功率は決して高くなく、成功の定義が曖昧なまま進んでしまっていることも少なくありません。去る2020年7月22日、多くの新規事業や起業支援を手がけてきたPegara, Inc.の市原俊亮氏を招き、オンラインセミナーを開催しました。新規事業プロジェクトが失敗する理由を把握しそれを防ぐための方法、プロジェクトを円滑に推進するためのメソッドにはどのようなものがあるでしょうか。


市原俊亮氏 プロフィール
米国法人Pegara, Inc. 共同創業者・最高経営責任者/ペガラジャパン合同会社 代表社員
2005年にITシステムのコンサルティング会社である株式会社RAIJINを創業し、2014年に東証マザーズ上場企業へ事業売却。株式会社ウェブクルーでは取締役社長室長として、新規事業立案や市場開拓など、起業家としての手腕を発揮した。同社を退職後の2015年、米国カリフォルニア州サンフランシスコにて共同創業者の中塚晶仁氏と共にPegara, Incを創業。人工知能により余暇の時間を捻出し、ゆとりある社会を実現することを理念に、イノベーションを主導する役割を担う。特に画像・映像領域へのディープラーニング適用を得意としており、人工知能の活用に関するコンサルティング、人工知能モデルの共同研究・開発やインフラ提供を行っている。

定金基 プロフィール
株式会社コパイロツト共同創業者
プロジェクトオーナーに伴走しながらプロジェクト推進をサポートする株式会社コパイロツトを創業。さまざまな企業規模・業種業態において、デジタル化推進や新規事業開発、プロジェクトが推進するチームづくりをサポートする。また、自らもプロジェクトオーナーとして、自社サービスの開発や「MITテクノロジーレビュー日本語版」のエグゼクティブプロデューサーを務めている。テクノロジーの発展や働き方の変化による社会や組織の複雑化にともない、ますます困難になるプロジェクトの推進を最適化することをミッションとして掲げる。プロジェクト推進メソッド「Project Sprint」をオープンソースとして公開し、その運用をサポートするクラウドサービス「SuperGoodMeetings」の開発も行う。

新規事業でプロジェクトリーダーが抱える問題とは?

コパイロツトでは、新規事業を推進するプロジェクトチームのサポートを多く手掛けてきました。そうした中でプロジェクト推進を阻む問題のひとつとして、「プロジェクトリーダーの稼働が溢れてしまう」ことがあると考えています。

そうなってしまう理由は、3つ挙げられます。

1つ目は、プロジェクトリーダーが対応する領域がとても広いこと。

下の図は、プロダクトマネジメント・トライアングル*を参考に、新規事業のプロジェクトリーダーの仕事内容を可視化したものです。この図を見てみると、成果物、顧客、ビジネス・組織チームなどさまざまな領域を横断する必要があることがわかります。

productlogic.org

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2つ目は、新規事業のプロジェクトリーダーは、リーダーとマネージャーの二つの役割を兼ね備え、担う必要があること。下の図を見ると、リーダーシップを持つプロジェクトリーダーとマネジメントは相反する役割と言えます。

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そして3つ目は、プロジェクトリーダーの稼働量は見積もりづらいこと。プロジェクトの状態は推進していくうちに変化しやすいので「どのような稼働がどれくらい必要になるのか」をあらかじめ見積もるのは難しいのです。

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そうした3つの問題を解決するソリューションはないかと考えた結果、コパイロツトでは「プロジェクトリーダーのチームを作って対応する」という手段をとることにしました。

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実際にこの方法でPegara社とともにプロジェクト推進をサポートしたところ、多岐にわたる業務を扱いながらも、リーダーの稼働量が超過してしまうことはなく、プロジェクトがスムーズに進みました。

そのアプローチの経験から今回、イベントを開催するに至りました。

まず、ここからは市原氏の言葉で、新規事業の立ち上げ期に考えるべきこと、失敗しないコツを紹介した講演内容をご紹介します。

新事業プロジェクト立ち上げ期に考えるべきこととは?

スタートアップ企業における失敗原因の1位は何かご存知でしょうか?
意外に思われるかもしれませんが、「そもそもマーケットにニーズがなかった」ことです。そのための仮説検証をしっかりやっていなかったケースは少なくありません。

私は兵庫県神戸市が運営する「500 Kobe Accelerator」で、米シリコンバレーのスタートアップ育成支援団体「500 Startups」のメソッドを学んだのですが、その師の一人であるRobert Neivert氏は、「なぜこの事業なのか」「なぜ今やるべきなのか」「なぜ自分たちがやるべきなのか」の3つに明確に答えを出すことが重要と言っていました。

私たちPegaraは技術をベースとした新規事業の立ち上げを多く手掛けてきましたが、今では新規事業構築を3カ月~1年程度という短い期間で行えるようになっています。
その前提条件として、自身が長く所属している業界での経験値があり、人脈を持っていることが挙げられます。もし畑違いのことに取り組むとなると、知識や技術のギャップを埋める作業が必要です。また、その業界の人脈作りもしなければなりません。そうなると事業構築にかかる時間が非常に長くなってしまうので、あまりオススメできません。これは前述の3つの問いにも繋がる話です。

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では、具体的にどのような手順で新規事業を立ち上げるかというと、まずは「事業コンセプト」を見つけていきます。そのためには、徹底した技術の理解が必要です。ただ、技術ベースのプロジェクトの場合に注意しなくてはならないのは、技術そのものを売るのではなく、顧客が求める物を生み出す点です。そのためには、顧客の理解が必要になります。また、競合や周辺環境の研究やリサーチも大切です。

ビジネスモデルはどんどん新しいものが開発されていくので、常に変化をしていきます。マーケットのルールが変わったり、新たな規制が加わったりといった時流の変化の中で、いち早く事業の可能性に気付けるよう常日頃から意識しておきましょう。

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事業コンセプトの仮説をしっかりと立てられたら、それが本当に問題なのか、否かを改めて検証していきます。一つの問題は複数の問題を内包していることが多いため、問題の抽象度を上げて中核の問題を定義していきます。

そして、その問題を解決し、問題を引き起こしている前提条件を打ち消すことのできる解決策を導き出します。本当にその問題は存在しているのか、解決策に合意してもらえるのかといったことを、インタビューなどを行い確認していきます。その上で、プロダクトを作る前にクラウドファンディングしたり、プレセールスという形で顧客候補への事前販売を試みたりします。

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そのステップを経た後に、事業計画を策定し、事業化や予算の承認を得てチームを作り、MVP(Minimum Viable Product=最低限顧客が求めるプロダクト)を作っていきます。

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MVPができたら、プレセールスで獲得したローンチカスタマーに提供してフィードバックをもらい、機能を足したり削ったりと修正していくことを繰り返します。そして、ローンチカスタマーにしっかりと定着するよう、カスタマーサクセスの仕組みを整えます。そうした取り組みを経て、最終的にこの事業を拡大しても大丈夫かを判断します。

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新規事業の撤退経験から学ぶ失敗原因

Pegaraでは、2015年〜2017年にアメリカで取り組んでいた認知症研究をベースにした新規事業を撤退した経験があります。
アメリカのアルツハイマー型認知症予防における第一人者であるWilliam R. Shankle先生が最高科学責任者をつとめるメディカルケアコーポレーションと、食生活を改善ことにより認知症の発症を優位に抑えることができるという研究をされていたMartha C. Morris先生(故人)、運動することで認知機能を維持することができるという研究をもとに開発していきました。

事業開発チームには、ヘルスケア業界での事業開発実績を有するPaul氏、「Forbesが選ぶ世界のトップ10インフルエンサー」にも選ばれたNeal Schaffer氏、アメリカの医療業界で多くの経験を持ち、人脈豊富なCindy Rader氏などの優秀メンバーで構成していました。

このプロジェクトは、最初にアルツハイマー型認知症になりやすい生活をしているかどうかをはかるアセスメントをし、現在の記憶力を評価して、食事や運動といった生活改善によって発症リスクを軽減していきましょう、というものでした。
SNSを中心に拡散したところ、3〜4カ月の間に1万人以上が同アセスメントを受け、メールマガジンを受け取ることにも多くの人が同意してくれ、非常に関心が高い印象でした。しかし、記憶力の評価や生活改善については、無料でもあまり使われず、米国の保険会社でも提供が難しいことがわかり、事業を撤退することにしました。

このプロジェクトについて、よくなかった点を考えてみました。まずは、消費者ニーズの理解不足です。「アルツハイマーは怖い」と思っている人は多いものの、求められているのは生活改善ではなく予防することのできる薬だったのです。

そしてもう一つは、チームのメンバー構成。
アメリカでは、名門医大卒のM.D(医学博士)がいないとなかなか信用されないという背景がありました。また、このメンバーでは最初の学習コストが膨大にかかってしまったという点でも良くなかったと思っています。

新規事業の開発というのは、大量の時間や労力、お金を使うものなので、ニーズのないものを作らない、自分たちが強みを持つ領域で戦う、いいタイミングでローンチするというポイントを押さえることが成功の最低条件です。

強みを持つ領域については、掛け算をすることが有効です。
たとえば弊社で開発した「GPU EATER」という機械学習向けのクラウドは、Pythonが得意で機械学習の領域に長けているメンバーが、元々ネットワークプログラミングをやっていた、というふたつの特長を活かして生まれました。 すでに知っている領域であり、なおかつ希少性の高いものを掛け算すると、競合も参入しづらいプロジェクト案が出てきます。

プロジェクトの質を上げるミーティングのメソッド

続いて定金から、プロジェクトを円滑に進めるためのメソッドを紹介しました。以下から定金の言葉でご紹介していきます。

コパイロツトでは、大手企業からベンチャー企業までさまざまな業種や規模のプロジェクトのお手伝いをしています。そうした多様なプロジェクトでも、汎用的に活用している定例ミーティングのメソッドとして「Project Sprint」があります。一言でいうと、ミーティングを最適化することで、プロジェクトを推進していく方法論です。

では、どのようなミーティングであればプロジェクトが進むのでしょうか。ポイントは3つあります。
1つ目は、プロジェクトの目的がどんどん変化していくことを定例ミーティングによって定期的にキャッチしていくこと。
2つ目は、ミーティング終了時までに次のタスクを決定して、次回のミーティングでタスクの実践結果を報告できるようなサイクルを作ること。
そして3つ目は、全員でミーティングのアジェンダを提案することです。タスクを実践した人が、その結果に基づいて次のアジェンダを提案していきます。

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Project Sprintを行う際、私たちは1週間に1度の定例ミーティングを設定することが多いです。ミーティングでは、まず前の1週間で実践した結果を共有し、その上でプロジェクトの方向性を全員で調整しながら、次の1週間で実践するタスクを決めていきます。
その後、次のミーティングまでにタスクを実践し、その上でミーティングで論じるべきアジェンダを出すことを繰り返しながら進めるのがProject Sprintの基本的な流れです。

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プロジェクト推進メソッドProject Sprintを活用した事業推進

ここでお話しするプロジェクトとは「不確実性が高く目的・目標が変化しやすいもの」を指します。そして、成果物がとても複雑で、問題解決の難易度が高いものを想定しています。そうしたプロジェクトでは、多種多様なスキルを持つメンバーや、いろいろな部署を横断するメンバーが参加する必要が出てきます。そうした状況で推進していくためには、2つの大きなポイントがあります。

1つ目は、「正確な予測・熟慮した結果による完全なる合意形成」よりも「実践によるフィードバックを元にした全員の納得による意思決定」に重きを置くこと。

そして2つ目は、「中央で情報を集めて統制し少人数のマネージャーが管理する」のではなく、「チームの透明性を上げメンバーで全員で推進していく」ことです。

まず、1つ目の全員の納得による意思決定をどのように実現していくかというと、ミーティングを最適化することで、チームの物事を達成していくリズムとフィードバックするサイクルを作ることが重要です。ただ情報共有するだけのミーティングではなく、各メンバーの問題解決にミーティングを活用するような形に変化させることが重要です。

さらに、プロジェクトの目的・目標の変化をチーム内に浸透させ、アップデートし続けていきます。ミーティングで必ずプロジェクトの目的・目標のすり合わせをし、それらを画像ファイルなどにして共有することで全員が眺められるようにすると良いでしょう。

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そして、2つ目のチームの透明性を上げてメンバー全員で推進するチームにするためには、特定の人のみが情報を保持できる環境を避け、チーム全員で同じ情報を共有し、またミーティングを定期的なログとして残していきます。振り返りの機会を定期的に設け、プロジェクトの状態を改善していくことも重要です。

さらに、個人が自律的に行動できる環境を作っていきます。新規事業プロジェクトにはさまざまなスキルを持った人が集まることが多いので、各メンバーがそれぞれに自分の特性を活かして動ける状況を作らないと、スピードが落ちてしまいます。

そして、TIPS的ですが、ミーティングを実施する際には参加人数にも気を付けましょう。これまで実践してきて感じますが、ミーティングの参加人数の上限は9人だと考えています。10人を超える大きなチームになる場合は分割するとよいでしょう。

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市原さんとともに、こうした方法論に沿って進めたプロジェクトは分業でき、クライアントにもいい成果が残せたのではないかと思っています。
コパイロツトが存在している意義は、クライアントが社会にインパクトを残せるようなサービスを作るお手伝いをすることだと考えています。もし新規事業の立ち上げやプロジェクト推進に悩んでいる場合は、コパイロツトがお手伝いできることがあるかもしれません。

最後に

コパイロツトは、課題整理や戦略立案から参画し、プロジェクトを効果的に推進するための「プロジェクトマネジメント」「ファシリテーション」「ナレッジマネジメント」などのお手伝いをさせていただきます。

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