コパイロツトは、プロジェクトマネージャーやプロジェクトチームに対してプロジェクトマネジメントのやり方をアドバイスしたりコーチングしたりするとともに、クライアントの中でプロジェクトマネジメントを育んでいくための組織レベルの支援も行っています。
今回は、前回の対談記事「私たちがPEに込めた想いとは?」に続いて、今回はPEのビジョンについて越川と米山で語り合っていきたいと思います。
- Project Enablement のビジョン
- これを見て、越川はどう思った?
- 大きな変革も、最初は目の前のプロジェクトや会議の変革から
- 越川と米山にとってのプロジェクトマネジメント
- プロジェクトマネジメントを探究し続けたい
- コパイロツトへのお問い合わせはこちら
- コパイロツト初の書籍が6/16から発売開始!
Project Enablement のビジョン
米山: PEでは、「「プロジェクト推進」と「知の創造」の方法論の探求を通じて、しなやかに変化に適応し続ける社会を構築する」ことをビジョンとして掲げています。
このPEのビジョンは、以前、定金・賀川・米山で議論していたものをベースに、今回、越川さんと米山で再度議論をして、アップデートしたものです。
この図を、個人、プロジェクト/組織、社会というつながりで書いているのは、「プロジェクトマネジメントが物事を進めるための土台になる」と考えているからです。つまり、プロジェクトの進め方を獲得するということは、目の前のプロジェクトをよくするということだけでなく、私たち個人の人生にもよい影響を与えるし、社会をよくしていくための土台にもなるものだと考えています。
プロジェクトマネジメントは、結局、物事をいかにうまく進めていくかということなので、社会レベルで言えば民主主義ともまちづくりとも関連があるし、個人レベルでいえば自分の人生をどう生きていくかということでもあります。個人の成長、組織の変化、社会への影響というように、様々なレベルで良い影響を与えるものだと考えています。
これを見て、越川はどう思った?
米山: 越川さんはこのビジョンを見たときに、どう思いました?
越川: 「社会」と聞くと、どうしても自分が日々行っている業務とは距離があるように感じて、最初は少し実感が持てませんでしたね。ですが、よく考えると、社会というのは遠くにある見えない存在ではなく、個人一人ひとりの集まりでできていると解釈してみて、イメージができるようになりましたね。
この視点を持てるかどうかで、支援の姿勢や意味も大きく変わってくると思っています。
個人はとても小さく、影響は僅かですが、社会や組織が個人で成り立っていると考えると、個人の小さな選択や行動が変化をもたらし、成長につながり、その人がまた誰かに影響を与える。その積み重ねが重要だと実感しています。
米山: 今回一緒にアップデートする中で、新たに気づいたことや感じたことはありました?
越川:もともとこのビジョンは、何度も議論を重ねて作られてきたと思うので、ベースは変わっていません。今回のアップデートでは、ベースはそのままに、自分が日々の支援の中で大切にしている想いと、より強く結びつける形に調整しました。
特に、個人への支援については、これまで実際に未来に不安を持っている方に伴走してきた経験があり、我々の支援を通じて仕事に誇りや、やりがいを感じてほしいと強く願っています。
実際に個人の変化を目の当たりにしてきているので、理想論ではないと確信しています。
大きな変革も、最初は目の前のプロジェクトや会議の変革から
越川: 米山さんの思いもぜひ聞かせてください
米山: 1つは、この記事の冒頭の方でもお話した、プロマネのスキルはプロジェクトのみならず、個人においても社会においても役立つものであるということですが、もう1つは、大きな社会や組織というものも、ボトムアップのほうが変わっていきやすいのではないか?ということです。
「社会変革」や「組織変革」という言葉をよく聞きますが、個人的には、その単位のものをいきなり変えていくことは難しく、まずは、目の前の会議やプロジェクトという扱いやすい単位のものを変えていくことのほうが重要だと思っています。目の前の会議やプロジェクトが変わっていくことで、その先に、組織や社会の変革があるはず。もちろん、かっこいいビジョンやリーダーによって、いきなり組織や社会が変わるというアプローチはあってもよいですが、個人的には、ボトムアップにみんなで変えていくことに魅力を感じていて、先ほどのビジョンの図にはそんな思いを込めていたりします。
越川と米山にとってのプロジェクトマネジメント
米山: ところで、越川さん自身は、プロジェクトマネージャーを担ったり、プロジェクトマネジメントと出会ったのはいつ頃ですか?
越川: 恥ずかしながらコパイロツトに入社してからプロジェクトマネジメントの重要さを知りました。8年ほど前のことです。前職ではディレクションを行っていたので、近しいことはやっていたのですが、全くと言っていいほど、プロジェクトの捉え方が変わりました。
米山:「プロジェクトマネジメント」というものと出会って、越川さん自身の変化はありました?
越川: 以前の私は、「自分はこれがベストだと思う。それに対してどのようなアンサーをもらえるか?」「向こうから要件をもらって、こちらが回答するという関係性」「それぞれが独立していて、最終的にどっちの意見にするか?」「対立関係にある」という考え方でした。つまり、同じプロジェクトメンバーなのに自分と他者を分けて考えていたんですね。
それが、コパイロツトに入ってから、「プロジェクトの中の自分」という感覚を持つようになりました。以前は「自分はこう思う」「これがベスト」だったのが、必ずしもベストと言い切れないと思うようになり、お客さんが言うことがベストかもしれないし、そもそもベストがわからない状況の中でどちらの方向が望ましいのかを一緒に探すところから始めるという考えに変わりました。つまり、対立関係ではなく、対立する前に目指す指標を揃えることで、「対立しようがない」「一緒に模索していく」という共創関係になったんです。
米山: 具体的にどのようなきっかけがあったのでしょう?
越川: コパイロツトでは、そのような共創的なプロジェクトマネジメントが当たり前のように行われていました。実際に体験する中で、自分自身も変化するきっかけをもらったと感じています。単なる理想論ではなく、実際の効果も体感できたので、自分としても変化しようと思えたのです。
米山: プロジェクトマネジメントを、単に管理の技術ではなく、他者とともに物事を進める共創の技術と捉えるのは、コパイロツトらしいところかもしれないですね。いつも越川さんと仕事を一緒にさせてもらっている私ですが、その「管理」と「共創」のバランスが素晴らしいなと感じていました。
越川: 米山さんはコパイロツトに入る前と後で、プロジェクトマネジメントに対する違いをなにか感じましたか?
米山: そのことを書いたのが拙著『両利きのプロジェクトマネジメント』で、ぜひそちらをお読みいただきたいのですが(笑)、実は、私が2018年にコパイロツトに入ってまず受けた衝撃は、それまでのプロマネと全く違うプロマネを目の当たりにしたことだったんです。
コパイロツトに入る前は、私はシンクタンクや行政で働いていたのですが、そこで行われているプロジェクトマネジメントは基本的には、1人で管理中心のプロジェクトマネジメントを行うスタイルでした。しかし、コパイロツトで目にしたのは、管理ではないマネジメントを全員で行うスタイルでした。これを見たときには衝撃を受けたことを今でも覚えていますが、そのようなスタイルを拙著『両利きのプロジェクトマネジメント』で書いています。
プロジェクトマネジメントを探究し続けたい
越川: こうやって話していると、プロジェクトマネジメントと一言にいっても、本当に奥深いものだなと思いますね。この記事で話していたことも今はそう思っていますが、今後もずっと進化させていきたいですね。
米山: ほんとそうですね。ぜひこれからも探究し続けましょう!本日はありがとうございました。
越川: こちらこそ、ありがとうございました!
コパイロツトへのお問い合わせはこちら
Project Enablementは単なるスキルの習得にとどまらず、組織が自律的にプロジェクトを推進できる力を育む取り組みです。
コパイロツトでは、この力を活かして、組織が変化に適応し、持続的に成長し続けるサポートをしていきたいと考えています。この取り組みを広げ、より多くの企業が変化に適応し続けるためにサポートしていきたいと思います。
コパイロツトではプロジェクトマネジメントに関するセミナーを定期的に開催しています。関わっているプロジェクトでお悩みをお持ちの方、プロジェクトマネジメントを学びたい方はお気軽にご参加ください。
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コパイロツト初の書籍が6/16から発売開始!
紙・Webのデザイナー、Web制作会社のディレクション経験を経たのち、株式会社コパイロツトにジョイン。
受発注双方に対して、デジタル領域のプロジェクト推進を支援。実務経験をもとにプロジェクトを推進する仕組みづくりや人材の成長支援も行っている。 コパイロツトのHR業務も担当。
執筆者 米山知宏(よねやま・ともひろ)(Facebook / Twitter)
株式会社コパイロツト Project Enablement事業責任者 / 新潟県村上市役所CIO補佐官。 東京工業大学大学院社会工学専攻修了後、株式会社三菱総合研究所、新潟県新発田市役所を経て現職。 民間企業や自治体におけるデジタル・トランスフォーメーションや組織変革を支援しながら、プロジェクトを推進する方法論を探究している。 探求成果は株式会社コパイロツトのブログやSpeakerDeckで公開している。