コパイロツトは、プロジェクトマネージャーやプロジェクトチームに対してプロジェクトマネジメントのやり方をアドバイスしたりコーチングしたりするとともに、クライアントの中でプロジェクトマネジメントを育んでいくための組織レベルの支援も行っています。
今回は、前回の対談記事「【Project Enablement のビジョン】しなやかに変化に適応し続ける社会を」に続いて、Project Enablementを通じて実現したい状態を越川と米山で深堀りしていきたいと思います。
- 「Project Enablementを通じて実現したい状態」
- 変化への適応、成長し続けること
- プロジェクトマネジメントとナレッジマネジメントの意味
- ナレッジマネジメントとは?
- 最初の一歩として取り組んでいただきたいこと
- コパイロツトへのお問い合わせはこちら
- コパイロツト初の書籍が6/16から発売!
「Project Enablementを通じて実現したい状態」
ーー前回はPEのビジョンについて話しましたが、今回はもう一歩踏み込んで、PEの支援を通じて何を生み出していきたいのか?ということを話していきたいと思います。まずは、こちらの図「Project Enablementを通じて実現したい状態」の概要について教えて下さい。

米山: こちらの図は、「変化に適応し、学習・成長し続ける個人・プロジェクト・組織へ」というPEとして実現したい状態にしていくための「要素」と「成長プロセス」を2軸で表現したものです。
まず、2軸の左右では、変化に適応し、学習・成長し続けるために必要な2要素を表していて、左側は「プロジェクト推進(プロジェクトマネジメント)」のスキルや考え方を獲得するということ、右側は「知識の創出・循環(ナレッジマネジメント)」、つまり、必要な知識を生み出して、それを仲間・関係者と共有・循環させていける状態にすることです。
一方の2軸の上下では、それらを行う対象を表していて、個人→プロジェクト→組織という対象範囲を示しています。というのも、2軸の左側の「プロジェクト推進(プロジェクトマネジメント)」のスキルも、個人レベルで獲得すべきものもあれば、一方で、組織的に共有すべきものもあるからです。
越川: この図は、個人と組織における学習・成長を表しています。コパイロツトが提供しているプロジェクト推進力を個人が身につけることで組織に対して、影響・発展することを意図しています。 ナレッジマネジメントが横軸に存在しているのは、個人の成長は一時的なものではなく、今後も学習・成長し続けていくということと、それを組織の成長へとつなげるために、個人の経験や知識が組織に循環していくことで価値を生み出すということです。 図の矢印は4象限の左下「プロジェクト推進/個人」のブロックから伸びているのですが、事の起こりは個人の変化が起点になると考えているためです。
変化への適応、成長し続けること
ーーなぜ、変化へ適応し、学習・成長し続けることが必要なのでしょうか?
越川: まず、組織は個人の集まりであり、個人の集合知が組織を作り出していると考えます。
個人の能力に秀でた人材が、リードしていくプロジェクトや企業も存在すると思いますが、大規模になればなるほど、状況の変化が大きいほど、特定の人間が、何もかもリードしていくのは難しく、個人の能力に頼っていた場合、人材が育たないといった別の問題が発生したりします。
個人が経験したことは成功であっても失敗であっても、学習・成長の糧であり、個人の成長が組織に還元されるのであれば、個人にとっても組織にとっても、ひいては、社会にとっても望ましい状態になるのではないのでしょうか。
「変化に適応する」
目的・メンバー・ステークホルダー・置かれている状況が違えば、プロジェクトは不確実性が高まります。
そうした状況の中で、柔軟にどんな変化にも適応することが、重要と考えています。
「これだけ型通りにやっておけば大丈夫」ということはなく、変化に対応する能力はどんな業務でも必要だと思います。
「学習・成長し続ける」
個人に関しては、個人が自律的に学習し、他者と共に学び続けることを意図しています。成長することを望んでいない方はいないと思いますし、他者と学び合うことで、さらなる成長につながると考えています。組織に関しては、個人で学習・成長した結果を個人だけのものにしていては、もったいないですし、活用してこそ組織の成長につながると考えています。
米山: 個人的には、まず大前提として、人間は意図しているかしていないかに関わらず、必ず何かしらを学んでいるものだとは思っています。まさに、自分自身が子どもの頃に、学ぼうとしなくても自然と言葉を覚えていったように、普段プロジェクトに関わる中でも、自然と何かを学んではいるはずです。そのため、「変化への適応」もできていないわけではないのです。
しかし、私たちが日々プロジェクトに関わる中においては、目の前のプロジェクトや次のプロジェクトで、より成果を生み出したり、プロジェクトが失敗してしまわないようにする必要がありますが、そのためには意識的に学び、意識的に変化に適応していくことが必要だと考えています。これは、クライアントからお金をいただくビジネスをしている限り、不可欠なことだと考えています。
その学びは当然、個人ごとに行われるべきことではなく、組織として行われるべきことです。なぜなら、プロジェクトは複数人のチームを組んで取り組まれるものであり、チームとして学び、成長していかなければならないからです。先ほどの図の上下が「個人と組織の軸」になっているのはそのためです。
プロジェクトマネジメントとナレッジマネジメントの意味
ーー左右の軸として、「プロジェクト推進(プロジェクトマネジメント)」と「知識の創出・循環(ナレッジマネジメント)」がありますが、どのような意味を込めているのでしょうか?なぜ、この2つなのでしょうか?
米山: 一言で言えば、プロジェクトを推進・実践した経験から学んでいくことが不可欠であるからです。それは、私たちが物事をよりよい形で進めていく上で不可欠の2要素であり、車の両輪のようなものだからです。
単に書籍を読むだけでは真の学びになりません。自ら経験するからこそ学べることがあります。そして、経験から学んだことは、自分の道具としてとても使いやすいものであり、実際のプロジェクト(自分の実践)で再び活かされることになるでしょう。
実践するからこそ学びになり、学ぶからこそ実践したくなるのです。
越川:プロジェクトメンバーは、プロジェクトから得る、知識、経験を意識せずとも蓄積していると考えています。
プロジェクトには多くのナレッジとなりうる情報があり、ナレッジを交換・発展・抽出し、ナレッジマネジメントを行う。という考え方です。
1つのプロジェクトで得た知識・経験を、そのまま放おって置くのではなく、別のプロジェクトでも活かすためにナレッジマネジメントを行うと、知識が循環し、同じ過ちを侵さずに済んだり、より良い方法を生み出すきっかけになったりと、好循環が生み出せます。
ナレッジマネジメントとは?
ーー図の右側の「ナレッジマネジメント」とはどのようなものでしょうか?
米山:ここまでお話してきた文脈でいえば、ナレッジマネジメントとは、経験したことから学び、その学びを言葉にして、他者と共有していく一連のプロセスを意味しています。
従来ナレッジマネジメントというと、ノウハウが集積されたシステム(データベース)の構築がイメージされていましたが、ここで言及したいのはそのようなものではありません。
他者とともに経験すること。他者とともに学ぶこと。他者とともにその学びを共有すること。そのような対話的、動的なプロセスこそが、今の時代に必要なナレッジマネジメントだと考えています。
越川: ナレッジマネジメントと言っても、人や組織によって解釈は様々かと思います。おそらく、「ナレッジマネジメントとは」を説明しても、違うと感じられる方もいるかと思いますので、個人の解釈を述べるのは控えます。
個人的には何をナレッジマネジメントと定義するのかよりも、個人が持っている知識を、他者、別のプロジェクト、組織として成果や価値を生み出していくのかを考えるほうが重要だと思っています。

最初の一歩として取り組んでいただきたいこと
ーー最後に、この記事を読み、自組織で何かを始めたいと感じた方へ。まず何から着手すべきか、最初の一歩として最も大切な心構えや行動について教えて下さい。
越川: プロジェクト推進(プロジェクトマネジメント)と聞いて、皆さんはどのようなことをイメージするでしょうか?
プロジェクトマネジメントスキルは特別なことではなく、みなさんが普段行っている業務で活用できるものばかりで、どんな役割にも活かせるポータブルスキルです。
まずは、「プロジェクトマネジメント」に関する本を読んで、得た知識を、他者に話してみてはいかがでしょうか。
他者に話す行為自体もナレッジマネジメントにつながります。
米山:まず、みなさんが関わっているプロジェクトの中で、「これをこうしたら、プロジェクトがもっと進めやすくなるかもしれない!」というものをチームで話し合ってみてください。漫然と「プロジェクトはこう進めるものだ」と決めつけてしまうのではなく、「もっとよい進め方はないだろうか?」とチームのみんなで探してみましょう。みなさんがこれまでに感じていた違和感・モヤモヤの中にこそ、ヒントがあるはずですし、それが、みんなでプロジェクトをイネーブルメントしていくための第一歩になるでしょう。
それをチームで話したら、組織の中にも共有してみましょう。最初はSlackで共有するくらいの簡単なことでもよいでしょう。みなさんがチームで話したことは、間違いなく他のプロジェクトのチームにも役に立つものです。
コパイロツトへのお問い合わせはこちら
Project Enablementは単なるスキルの習得にとどまらず、組織が自律的にプロジェクトを推進できる力を育む取り組みです。
コパイロツトでは、この力を活かして、組織が変化に適応し、持続的に成長し続けるサポートをしていきたいと考えています。この取り組みを広げ、より多くの企業が変化に適応し続けるためにサポートしていきたいと思います。
コパイロツトではプロジェクトマネジメントに関するセミナーを定期的に開催しています。関わっているプロジェクトでお悩みをお持ちの方、プロジェクトマネジメントを学びたい方はお気軽にご参加ください。
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コパイロツト初の書籍が6/16から発売!
紙・Webのデザイナー、Web制作会社のディレクション経験を経たのち、株式会社コパイロツトにジョイン。
受発注双方に対して、デジタル領域のプロジェクト推進を支援。実務経験をもとにプロジェクトを推進する仕組みづくりや人材の成長支援も行っている。 コパイロツトのHR業務も担当。
執筆者 米山知宏(よねやま・ともひろ)(Facebook / Twitter)
株式会社コパイロツト Project Enablement事業責任者 / 新潟県村上市役所CIO補佐官。 東京工業大学大学院社会工学専攻修了後、株式会社三菱総合研究所、新潟県新発田市役所を経て現職。 民間企業や自治体におけるデジタル・トランスフォーメーションや組織変革を支援しながら、プロジェクトを推進する方法論を探究している。 探求成果は株式会社コパイロツトのブログやSpeakerDeckで公開している。



