COPILOT Newsletterはプロジェクト推進支援の現場や学術研究から得たプロジェクトマネジメントに関する最新ナレッジ・方法論などのコンテンツを不定期で配信しています。
今回は、2022年4月6日に配信された『意思決定プロセスに、他者を尊重する視点は含まれているか』を再編集し掲載します。
意思決定プロセスに、他者を尊重する視点は含まれているか
プロジェクトを推進するにあたって、意思決定をするうえでの前提や価値観を軽視すべきではありません。それがプロジェクトの根幹を支えていると言っても過言ではないからです。プロジェクトに関わる個人が持っている意見はさまざまでしょう。でもプロジェクトに関わるとき、私たちは自分の意見を開示し、相手の意見を傾聴したうえですり合わせながら進む。完璧ではなくても方向性や方針、行動は議論の末に現れます。また公平性が担保された意思決定のプロセスによって私たちは、「まずはやってみる」という姿勢と、「その結果によって見直しをする」というステップを手に入れられるのではないでしょうか。私はこれまでその繰り返しによって、より良い状態を求め進んでいけると、一定の信頼をおいていたからこそ、プロジェクト推進に携わってこられたのだと思っています。端的にそのようなアプローチや進め方、もう少し広く言うとそのような社会のほうが、より良いものであると信じてきたのです。
ロシアのウクライナへの侵攻が開始されてから1か月以上が経過しました。社会を構成する1人として、この話題に触れないわけにもいかないと思い、悩みながら正直にお話しします。この1か月、私は途方もない無力感に苛まれていました。それはこれまで、自らが大切にしてきた価値観や、世界にあった秩序が一瞬で壊されていくように感じ、どんなにプロセスを重視したところで暴力やパワーの前には無力なのか、と思わずにはいられなかったからです。
プロセスを重要視することは他者を尊重することだと私は思います。またプロセスを作り、実行するときには、公平性が守られているかを注視することも重要です。それは決して簡単なことではありません。ですが私は、他者と関わり、互いを尊重し、プロセスを決定しながらものごとを進めていくことに希望を見出したいとも思っています。
プロセスを重視するためには、文脈や言葉の意味にも着目する必要があります。
普段、意識せずに使いがちな「マネジメント」という言葉ひとつとっても、分解してみると、英語におけるAdministration、Management、Controlという三つのニュアンスが含まれていることが見えてきます。
- Administration 組織全体において重要な方針や目標を設定すること。経営、統治。
- Management 設定されている方向に向かって推進すること。運営、操縦。
- Control 発展を求めるのではなく、安定的な状態にすること。監督、制御。
日本において「マネジメント」というと、まだControlの意味合いが強いのではないでしょうか。これからは改めてAdministrationとManagementに着目すべきです。方針を定めてより良い結果を求め、着実に行動を積み重ねていく。そしてその積み重ねのなかに、他者を尊重し、意見をすり合わせ、意思決定していくプロセスが組み込まれていくことを願ってやみません。
――Motoi Sadakane
Appendix
メンバーの働く環境を整えるのも会社の役割。それはリモート環境が主になっても変わりません
コパイロツトでは以前から一部のメンバーはリモートで働いていました。しかしコロナ禍に突入した2020年2月以降、全社的にリモートワークに切り替えることになり、現在も多くのメンバーが在宅で仕事をしています。
そこで会社として見直したのが、仕事を遂行するうえで必要となる諸費用の負担と、働く環境を整えるための初期投資についてです。リモートワークメインに切り替えてから社内でどんな制度や諸手当を導入したのか、現時点での結論と検討プロセスをご紹介します。
プロジェクト推進のTipsやコパイロツトの情報をお届けするCOPILOT Newsletterは、不定期配信です。
ミーティングやファシリテーション、チーム・組織づくりなど、これからのプロジェクトマネジメントを考え、実践していくためのテーマを取り上げ、イベントなどの活動情報もお知らせします。
株式会社コパイロツト共同創業者/エグゼクティブプロジェクトマネージャー
プロジェクトオーナーサイドに立ち、外部パートナーとしてプロジェクトマネジメントのサポートを行う。Project Based Working 社会に向けて、プロジェクトマネジメントを常にアップデートしつづける構造を構築中。MITテクノロジーレビュー日本語版のエグゼクティブプロデューサーを務めるなど、様々な共同プロジェクトへパートナーとしても参画。
編集者、プロジェクトマネージャー。情報発信と環境作りを担当。コパイロツトのサービス内容に加え、プロジェクトマネジメントに関する知見や魅力、コパイロツトの文化などを日々の発信で伝えられたらと思っています。