
今や、ビジネスパーソンに必須ともいえる「プロジェクトマネジメント」のスキル。どんなにその重要性を理解していても、自社内でスキルを身につけるのは、なかなかハードルの高いことでもあります。
今回コパイロツトでは、以前からプロジェクトをご一緒してきた株式会社グッドスマイルカンパニーさんにお声がけいただき、8か月間にわたってプロジェクトマネージャーの育成支援を行いました。
実際にプログラムを経てどのような変化があったのか、支援を受けたご本人にお話をうかがいました。
青野さん(株式会社グッドスマイルカンパニー)
大学卒業後、1年半のSE経験を経て2023年1月に同社へ入社。経営企画部に所属し、さまざまなプロジェクトの進行に携わっている。
▼支援したコパイロツトメンバー
米山知宏/越川英宣
▼会社情報
株式会社グッドスマイルカンパニー
日本のポップカルチャーを世界中に拡大し、業界を刺激し続けることをミッションとして、美しく精巧なフィギュアやプラモデルの設計や製造、アニメーションやゲームのプロデュースなどを手がけている。
https://corporate.goodsmile.com/ja/
- 自分は「何の人」なのだろう? 幅広い業務、漠然とした不安
- 仕事の進め方を理解し、自分の中に“物差し”ができた
- 自分の手が届くところから、学んだことを積極的に実践
- 個人としても、部署全体でもスキルアップを目指したい
自分は「何の人」なのだろう? 幅広い業務、漠然とした不安
―― 2023年に入社して以降、青野さんは社内でどのような仕事に取り組んできましたか?
青野 配属された部署は経営企画にあたります。ただ当社の経営企画チームでは、他のどの部署にも当てはまらない新規プロジェクトを担う役割も担っています。そのため私も、新しく開発したスマートフォンゲームのプロモーションの社内窓口を引き受けたり、新規コンテンツを制作するプロジェクトの進行管理を行ったりと、幅広い業務に関わってきました。
―― 今回、プロジェクト推進力を身につけるための支援を受ける以前は、ご自身の仕事についてどう捉えていましたか?
青野 部署で担っていた仕事の特性上、業務の内容や範囲が非常に多岐にわたっており、会社としての新しい取り組みも多くありました。そのため会社側から「あなたの職種はこれ、役割はこれ」と固定されることがなく、自分で改めて考える機会もあまりなかったんです。
ただそうした状況が続くうちに、だんだんと私自身は一体何をしている人だといえばいいのか、職域や役割を明確につかめていないことに少し不安を感じるようになりました。
―― プロジェクトマネジメントについて、当初はどのような理解をしていましたか?
青野 正直なところ、あまり具体的なイメージは持てていませんでした。自分が普段している仕事=プロジェクトマネジメントである、という認識もできていませんでしたね。
でもコパイロツトのみなさんからお話を聞いて、プロジェクトマネジメントのスキル、プロジェクトを推進する力が、これからの私にとって大きな武器になるのではないかと思いました。
仕事の進め方を理解し、自分の中に“物差し”ができた
―― どのようなプロセスで支援を進めていったのか、具体的に教えてください。
越川 まずはプロジェクト終了後に目指す状態と、そこに至るまでのプロジェクトストーリーを、青野さんと私たち(米山・越川)で一緒に描くところからスタートしました。その後は適宜必要なレクチャーを行いつつ、ロードマップに沿って週1回・1時間の定例会を実施していきました。
週次のミーティングでは、青野さんが実務で直面したできごとや気づいたことなどを共有いただき、それに対して我々が質問をしながら課題などを深掘りしていく形で進めていました。
単に定期的に個人のふりかえりをするだけではなく、これから先、青野さんが別のプロジェクトに関わったときに応用できるよう、ふりかえりはかなり丁寧に実施していましたね。

―― 支援を受けてみて、青野さんは率直にどんな感想を持ちましたか?
青野 お話いただくことすべてが印象的で、常に新しい知識をインプットしている感覚でした。仕事の作業手順を教えてもらう機会はたくさんありますが、「仕事をスムーズに進める方法」を学べる場は貴重だと思います。何より、自分の実際の行動に対するフィードバックをいただけるのがありがたかったです。
―― 支援を受ける中で、実務への取り組み方はどのように変化していきましたか?
青野 今までは自分の役割を捉えきれておらず、新しいプロジェクトを目の前にして「どう動いたらいいんだろう?」と戸惑うことが多かったんです。でもプロジェクト推進についての知識や考え方に触れ、自分の中にひとつの“物差し”ができたような気がします。
―― “物差し”とは?
青野 理想的な進め方を学んだので、それを基準にして「今回はうまくできなかった」と振り返る材料にしたり、プロジェクト全体を見て不足している部分を「じゃあ今回はその役割を自分が担おう」と行動に移してみたり。
誰かから役割を与えられることを待つのではなく、自分主体で仕事に取り組めるようになったように思います。
自分の手が届くところから、学んだことを積極的に実践
―― 支援を受け、仕事で実践した内容をぜひ教えてください。
青野 当時参画していたプロジェクトチームでは、必要に応じてその都度ミーティングを設定していました。ただコパイロツトさんから定例ミーティングの位置づけと重要性を教えていただいたので、まずは自分の業務に関連するところからはじめてみようと思い、上長との定例ミーティングを設定してみることにしました。
そのミーティングに必要なアジェンダや議事録を自分で作り、それをまた米山さんと越川さんに見てフィードバックしてもらう、という流れで実践を重ねていきました。

米山 手の届くところからスモールスタートしてみる、その姿勢が素晴らしいです。ご自身が業務で実践したことを毎週共有いただいていましたが、この記録は本当に青野さんご自身にとっての財産になるものだと思います。いつもたった1週間の実践とは思えない分量の思考をされていて、学びのスピードの速さに驚かされていました。
―― 実践を重ねる中で、周りの人からの反応や評価などに変化はありましたか?
青野 一番大きな変化は、部署異動の話をいただいたことでしょうか。ブランド全体のプロモーションやイベントの進行管理など、規模の大きなプロジェクトを手掛けている宣伝部に異動することになったんです。
上長から、プロジェクトマネジメントの役割をある程度は担える、と期待していただけたのではないかと思っています。
また小さなところでは、上長が私のアジェンダや議事録の作り方を参考にしようとチーム内に広めてくれたりもしています。
個人としても、部署全体でもスキルアップを目指したい
―― コパイロツトの支援はひと区切りとなりましたが、現時点で、青野さんがこれから取り組みたいと思っている課題がありましたら教えてください。
青野 まだまだ先輩から指示を受けて動く立場であり、プロジェクトマネージャーとして一人で立ち回れるところまでは至っていません。でもいずれは、自分の中でプロジェクトの進め方をちゃんと確立したいと思っています。
組織としてみると、グッドスマイルカンパニーには扱っているブランドがたくさんあり、それに伴うプロモーションも多岐にわたりますが、宣伝部内の人手にそこまで余裕があるわけではありません。
今後は自分自身も含め、一人ひとりのメンバーが個々のプロジェクトをしっかり進行していけるよう、全員で成長していくことを一つの目標としています。
―― 最後に、今の青野さんが「プロジェクトマネジメント」をどのようなものとして捉えているか、教えてください。
青野 はじめは、表立ってプロジェクトを引っ張っていく立場をイメージしていたのですが、そうではないことがわかりました。情報をしっかり整理して、プロジェクトの“交通整理”をきちんとする、そんな役割だと思っています。
「プロジェクトマネジメント」は、ややもすれば敬遠されがちなスキルですが、どんなキャリアにも活かせるポータブルスキルだと思っています。特に、自身のスキルの拠り所に悩む若手社員にこそ身につけてもらいたいと考え、青野さんにはその良いテストケースとなっていただきました。
現在進行中の新企画プロジェクトでは、青野さんの動きが見違えるように良くなり、支援の確かな効果を実感しています。
この素晴らしい成功例を一つに留めることなく、今後も社内でのプロジェクトマネージャー育成を推進していきたいと思っています。最後になりますが、今回の成功は、コパイロツトの皆さんの素晴らしいサポートのおかげです。本当にありがとうございました。
(岩佐厳太郎/代表取締役社長)


