「どうすれば、チームのメンバーが積極的に発言してくれるようになるのだろう?」「リーダーが意見を求めても、なかなか反応が返ってこない…」
そんな悩みを抱えているリーダーのみなさんのため、2025年10月に「メンバーの考えを言える化する方法」をテーマとしたワークショップを開催しました。
コパイロツトが提案するプロジェクト推進の手法に共感し、社内でさまざまな取り組みを実践してくれている、株式会社エスケイワードさんとの共催イベントです。

このイベントは、エスケイワードさんの発案で実現しました。なぜ「共催イベント」という形を選択したのか、このテーマを選定したのはなぜか?
今回は、イベントの企画・運営を主導したメンバー4人に、本プロジェクトの背景についてそれぞれの視点から語ってもらいました。
伊藤智彦(いとう・ともひこ)さん
株式会社エスケイワード/執行役員
プロジェクトマネジメントに特化した組織PMO(Project Management Office)を設立し、新しいプロジェクトマネジメントの社内浸透、プロジェクト毎の収益管理を推進する。
荻原明日香(おぎはら・あすか)さん
株式会社エスケイワード/管理部マネージャー
社員との1on1や新卒メンバーのオンボーディングなどを担当し、社内のコミュニケーション活性化、話しやすい場づくりを目指している。
多田早希(ただ・さき)さん
株式会社エスケイワード/ディレクター
国内主要メーカーや官公庁をメインとしたウェブサイトの案件進行管理を担当。日々様々なプロジェクトを体験する中で、試行錯誤を重ねながら、プロジェクトの推進の改善に努めている。
賀川 奈那実(かがわ・ななみ)
株式会社コパイロツト/プロジェクトマネージャー
外資系ITソフトウェア会社勤務を経て2020年12月に入社し、2022年からプロジェクトマネージャーとして活動。現在は自社主催講座の運営や、企業のプロジェクト推進支援などに広く携わっている。
(※本文中敬称略)

社内研修ではなく「ひらかれたイベントの共催」を選択した理由
―― 今回、当社と共催イベントを実施するにあたり、エスケイワードさんの社内に向けた研修やワークショップではなく、あえて社外にひらいたオンラインイベントの共催を提案いただいたのはなぜですか?
伊藤:前提として、エスケイワードではすでに「気づきトリアージ」を日常業務に取り入れ、一部の部署やチームで運用を続けています。
そのため、いま改めて社内向けの研修を実施するよりも、広く社外の人たちが参加できる場をつくったほうが、自分たちにとっても有益な情報を得られるのではないかと考えたんです。
プロジェクト推進に携わっているみなさんが、チームを構築し、日々コミュニケーションを重ねていくプロセスの中でどんな課題を抱えているのか。また、これまで私たちが取り組んできた事例を提示したとき、どんな反応が返ってくるのか。
そこから得られる気づきが、エスケイワードにとっての次の改善につながると思いました。
まあ、そもそもそれ以前に「コパイロツトさんと何かプロジェクトをご一緒したいな」という気持ちが大きかったのですが(笑)
賀川:伊藤さんが私がメインスピーカーを務めたウェビナーを受講してくれて、終了後にメッセージをくださったんですよね。お声がけいただき、とてもうれしかったです。
そのとき、ウェビナーの企画者として私自身が認識していたのと同じ課題感を、エスケイワードのみなさんも感じてくれていたことがわかりました。そこですぐにプロジェクトを立ち上げ、具体的な話を進めることになったんです。

改めて気づきトリアージを学ぶイベントがあり参加したところ、他の参加者の方が気づきトリアージの良さは感じているものの、導入のハードルの高さを感じていることがわかりました。そこで実際に導入した側として伝えられることがあるのではないかと思い、コパイロツトさんに一緒にイベントを行うことを提案しました。
引用元:エスケイワード公式note「イベントレポート 「どう思う?」が空振りするリーダーのためのメンバーの考えを言える化する方法 」(2025年11月21日掲載)より
―― 荻原さんと多田さんは、どのような経緯でプロジェクトチームに参加したのですか?
伊藤:二人とも、私から声をかけました。
多田は普段からチームで気づきトリアージを実践しており、今回のイベントを機に改めて理解を深めてもらえればと思っていました。
荻原は管理部門に所属していて、これから会議の進め方などの改善・浸透に取り組む可能性が高いため、チームコミュニケーションに関する知見に触れておいてもらおう、と考えました。
―― プロジェクトスタート時点で、お二人は「気づきトリアージ」を、どのように捉えていたのでしょう?
多田:私が所属しているチームでは、毎日の夕礼で気づきトリアージを行っています。私自身にとっても、すでに日常的な習慣になっています。
定期的に気づきトリアージを取り入れることによって、メンバーが不安に感じていることや、業務の体制や仕組みに対する疑問、質問などを気軽に挙げやすい環境と空気感ができていると思います。
荻原:管理部門ではまだ気づきトリアージを導入していなかったので、私自身は取り組んだことがない状態からのスタートでした。社内で行われていることは知っていたので、その手法について興味を持っていました。
「気づきトリアージ」を実践して約1年。社内の変化と手応え
―― 伊藤さんは、「みんなでプロジェクトを進める」自律的なチームづくりの一貫として、気づきトリアージの導入を主導されてきたとうかがっています。およそ1年にわたり実践を重ねた今、組織やチームにどのような変化が生まれていますか?
伊藤:当初は、メンバーに発言を求めても「特にないです」などという反応が多かった時期もありました。しかし、オンラインチャットで参加者全員が書き込む時間を設けて運用を続けていくうちに、全員が何かしらの発言をしてくれるようになりました。
たとえそれが小さな共有事項であっても、各メンバーの状況を可視化する材料のひとつになります。また稀にではありますが、メンバーの何気ない発言の中から、次のアクションを必要とする重要な事項が見つかることもあります。
少しずつですが着実に、チームが変化しているのを感じています。
―― 今回のイベントは、気づきトリアージ導入に踏み出す“一歩目”のハードルを下げる目的で設計されました。運用を継続していく中でぶつかる次のハードルや、陥りやすいポイントなどもあるかと思いますが、エスケイワードさんではそれらをどう乗り越えてきましたか?
伊藤:気づきトリアージを継続的に実践していくうえで大切なのは、段階的にでもいいので場に対する参加者の認識をそろえることだと思います。
当社の場合はいきなり全社で導入するのではなく、自分の周りのチームから小さく取り組みはじめました。「この場が何のために設けられているのか」について理解が進み、参加者の認識がそろっていくにつれ、だんだんとコミュニケーションの場として機能するようになりました。
また、その際に注意したいのがファシリテーションの仕方です。何のために気づきトリアージを行っているのか、ファシリテーターがきちんと理解しておくことが重要です。
それが頭から抜けてしまうと、ファシリテーター役が各メンバーの発言を不用意に深掘りしすぎてしまったり、発言したメンバーが意図せず詰められてしまったりする場に変わってしまう危険性があるので…。
―― そうなると「全員が意見を言いやすい場」ではなくなってしまいますよね。
伊藤:そうなんです。メンバーからすると「あれ? 気軽に発言できる場所じゃなかったの?」と、困惑してしまいますよね。
それを防ぐため、はじめのうちは基本的に私自身がファシリテーター役を務めていました。現在はファシリテーションの基本となるフォーマットを作成し、他のメンバーにもできる限りその通りに実行してもらうようにしています。
荻原:確かに、これから導入していく立場からすると、しっかりとした型があって、仕組み化されているのはとてもありがたいです。
多田:私もはじめは、ファシリテーションは専門スキルのある人にしかできないことだと思っていて、自分が担当するのに抵抗感がありました。でも気づきトリアージは型がしっかり決まっていて、それに従って進めていけば成り立つようにつくられています。
そのため私の所属するチームでは、伊藤さんや私だけではなく、チームメンバー全員が持ち回りでファシリテーター役を担当しても場が機能するようになりました。
賀川:コパイロツトとしても、プロジェクトメンバーが気軽に発言できる場をつくるための仕組みとして「気づきトリアージ」の実践に取り組んでいるので、日々の業務の中で活用いただきとてもうれしいです。まだまだ見直しが必要な部分もあるので、引き続きアップデートしていきます!
イベントでの気づきを踏まえて、さらなるアップデートを目指す
―― 今回のイベントで実施したワークショップについて、手応えはいかがでしたか?
賀川:気づきトリアージに関して、「導入のイメージがつかみにくい」「具体的な流れがわからない」という声には応えられたと思っています。参加者が実施の流れを体感できるよう、実際のワークに落とし込むことができました。アンケート結果も好評でした。
多田:私もファシリテーター役としてワークに参加したことで、参加者の方が「こんな感じでやればいいんですね」と感覚を掴んでいらっしゃるのを間近で見ることができ、手応えを感じました。
―― 逆に反省点や、次のイベントを想定した改善点などはありますか?
伊藤:前提となる情報なども含めて伝えたいことがたくさんありすぎて、2時間のイベントとしては、情報を詰め込みすぎてしまったと思います。もう少し取捨選択をしてポイントを絞ってもよかったかもしれません。
賀川:そうですね。私が話すパートも早口になってしまって…。何人かの方から「キャッチアップが大変だった」というフィードバックをいただいたので、次回は改善したいと思います。
―― 最後に、今回の共催イベントを通じてみなさんが得られたこと、もしくは次の展開につなげたいアイデアなどを聞かせてください。
荻原:私は、こうしてイチからイベントのプログラムを構築していくこと自体がはじめてでしたので、貴重な体験になりました。プロジェクトメンバー4人で進めていくことでさまざまな視点から意見やアイデアが出て、それをそぎ落として形にしていくプロセスが勉強になりました。
一度イベントを実施したことで改善点がいろいろ発見できたので、次は対面でワークを行うバージョンの回も企画してみたいと思っています。
多田:イベントの企画・開催も良い経験になりましたし、毎月この4人で行っていたミーティングが、プロジェクトの進め方で悩んでいることや、そのときに直面している課題などをざっくばらんに話す場にもなっていて、個人的にとてもありがたかったです。
コパイロツトさんは気づきトリアージを引き続きアップデートされていくとのことなので、そのプロセスでも何かご協力できればいいなと思っています。
伊藤:今回のイベントでは、私たち4人以外にも、エスケイワードのメンバーがファシリテーション役で参加してくれました。社外の方とワークに取り組む機会をつくることで、社内の活動とは異なる新しい気づきにつながるのではないかと考えています。
これからも気づきトリアージの実践を重ねながら、これが何のための取り組みなのか、ルールや意図に関する各メンバーの理解を深めていきたいですね。取り組みに対する理解度を高めたうえで、個々のメンバーがそれぞれのプロジェクトに落とし込めるようになることを目指していきます。
賀川:前回のウェビナーと今回のワークショップでは、あえて「気づきトリアージ」にフォーカスして企画をつくりましたが、若干、この手法の部分にだけ意識が向きすぎてしまった気もしています。
プロジェクト推進のプロセスの中でなぜこのソリューションが重要なのか、根本的な問題の原因をもっと掘り下げて説明する必要があると思っています。いくら実行しやすい型があるとはいえ、根本が理解できなければ、本質的な問題の解決には至らないですから。
そうした部分も含めて今回の反省点を活かし、次はさらにパワーアップした企画をみなさんにお届けしたいと思っています!


