文部科学省「高校コーディネーター全国プラットフォーム構築事業」の一環として全国高校コーディネーター研修 令和7年度プレ研修を実施されている株式会社ソフィアさんよりお声掛けをいただき、同プレ研修(全3回)の第2回講座にて「学校・地域の課題解決を進めるプロジェクトマネジメント」研修を担当いたしました。
開催概要
- 講座名:学校・地域の課題解決を進める プロジェクトマネジメント
- 日時:1月22日(木) 13:00 - 14:30
- 講師:株式会社コパイロツト 三浦 祐子、亀岡 真由
- 主催:株式会社ソフィア
- 監修:一般財団法人 地域・教育魅力化プラットフォーム


開催の背景と目的
学校や地域での活動(「高校改革」や「地域協働による探究学習」など)は、関係者が多く、正解のない複雑な問題に取り組むため、合意形成の難しさやリソース不足といった壁に直面しがちです。
本講座は、こうした課題を乗り越えるための「プロジェクトマネジメント」の視点や手法を学び、目の前の仕事を少しでも進めやすくすることを目的として開催されました。
本講座のゴール:
- 「正解」を学ぶのではなく、プロジェクト的な「考え方」を知り、仕事を楽にする。
- 全てを導入するのではなく、「できそうなこと」からヒントを持ち帰る。
講座のハイライト:
プロジェクトとは何か?
まず、「プロジェクト」の定義についての解説をしました。
- プロジェクト:独自の目標があり、期限(有期性)があり、不確実性が高いもの。
- 定常業務:継続的で、過去の経験が通用し、目的が変化しにくいもの。
学校・地域の活動の多くは「未経験のこと」が含まれるためプロジェクトに該当しますが、それを推進するには、多様な制約の中で目標を達成できるよう「やりくり(マネジメント)」する必要があります。
課題解決のための3つのステップ
本講座では、コーディネーターに必要なスキルとして以下の3点を紹介しました。
①ステークホルダー調整
関係者の「期待値」や「関心」が異なることを前提に、誰が何を求めているかを把握し、リスクを予防する重要性をお伝えしました。
②課題の構造化と整理
「問題(Problem/過去・現在の不都合)」と「課題(Challenge/未来に取り組むテーマ)」を明確に区別します。
フレームワーク:以下の流れで整理することで、場当たり的な対処ではなく、本質的な解決策を導き出します。
- AsIs(現状):今どうなっているか
- ToBe(理想):どうなるといいか
- Problem(問題):現状と理想の間にある不都合・障害
- Issue(課題):理想に近づくために取り組むべきこと
- Solution(解決策):具体的なやり方
ワークショップ:課題整理の実践
本章では、架空の事例「S高校 社会科教師 山田太郎先生(38)」の悩みを題材に、グループワークを行いました。
- ミッション:探究活動の進捗に悩む山田先生に対し、フレームワークを使って「理想」「課題」「解決策」を整理し、アドバイスを考える。
- 対話のポイント:議論して結論を出すことよりも、互いの視点の違いから学ぶ「対話(ダイアログ)」を重視しました。
参加者は現状と理想のギャップから「本当に取り組むべき課題は何か」を模索。ブレイクアウトルームで互いの内容を共有しながら、それぞれが導いた結果の違いと、その違いの背景を共有し合い、新たな気付きを得たチームもあったようです。
③試行プロセスの構築と実行
最後に、計画を実行に移す段階のポイントを共有しました。
完璧な計画を最初から作ることは難しいため、関係者と「向かうべき方向(ロードマップ)」を合意し、状況に応じて柔軟に見直しながら進めることが重要です。
また、活動をやりっぱなしにせず「資産」に変えるために重要なふりかえりとナレッジマネジメントについてお話ししました。
- ふりかえりの重要性:短期的な「改善(今のため)」だけでなく、中長期的な「学習(未来のため)」としてふりかえりを行うこと。
- ナレッジマネジメント:個人的な経験で終わらせず、組織の資産として蓄積することで、次年度以降の計画がより実行可能になり、チーム全体の成長につながります。
3. 最後に
「プロジェクトマネジメント」という言葉を聞くと、どこか難解なビジネススキルのように感じるかもしれません。
しかし、今回の講座で私たちがお渡ししたかったバトンは、「正解のない問いに対して、一人で抱え込まず、チームで納得しながら前に進むための作法」です。
学校や地域での活動は、予測不能な出来事の連続です。
だからこそ、最初から完璧な計画を立てる必要はありません。
大切なのは、関係者と「向かうべき方向(ToBe)」を共有し、「仮のロードマップ」を手に、まずは一歩を踏み出すことです。
そして、うまくいったことも、悩んだことも、すべては未来の自分たちへの贈りものになります。
「Present the present(今を未来へプレゼントする)」
日々の活動記録やふりかえりが、未来の自分や誰かを助け、組織やプロジェクトでの資産となっていく。
そんな「資産」を少しずつ積み上げながら、目の前のプロジェクトを「やりくり」して楽しんでいきましょう。
本レポートも、皆様の日々の活動を少しでも楽にするヒントになれば幸いです。


