プロジェクト推進において、会議やミーティングは重要な意思決定を行う場です。質の高い会議を実施するためには、ポイントを押さえた「アジェンダ」を設計する必要があります。
しかしアジェンダ設計に関して、みなさんは次のような経験をしたことはないでしょうか?
- そもそも、明確なアジェンダがないまま会議がはじまる
- アジェンダが適切に設定されておらず、会議が長くなり議論も発展しない
- 毎回、アジェンダを作るのはプロジェクトリーダーやプロジェクトマネージャーのみ
こうした課題を解消するためには、どのようなことを意識してアジェンダを作ればよいのでしょうか。今回は、コパイロツトが2024年7月17日に開催したオンラインセミナー「会議の質を高める『アジェンダ』の作り方」より、一部内容を抜粋してご紹介します。
※記事の最後に、実務でお使いいただけるアジェンダのフォーマットをご紹介しています。Googleの各ファイル形式でダウンロードできますので、ぜひご活用ください。
▼セミナー概要
「会議の質を高める『アジェンダ』の作り方」
開催日時:2024年7月17日(水)19:00-20:00(オンライン)
株式会社コパイロツト Project Enablement事業責任者
プロジェクトファシリテーター/在野研究者
プロジェクトファシリテーター、プロジェクトコンサルタント。
プロジェクト・組織の推進にプロジェクトマネージャーとして関わりながら、プロジェクト・組織の未来に必要なナレッジ・知を言語化するサポートを行う。民間企業のDX領域を中心としながら、シンクタンク・パブリックセクターでの勤務経験を活かして公共政策の立案・自治体DXに関する業務も担当。
インタビュー
会社の目指す方向と、自身の関心領域が一致。「ナレッジマネジメントとチームの関係・あり方」を模索し続けた4年間
- 会議の質を高めるアジェンダづくりに大切な考え方
- 「~について」というアジェンダをやめる
- アジェンダの「What」「Why」「How」を明確にする
- 会議の質を高めることで、プロジェクトを成功させる
- 【フォーマット公開中】ミーティングアジェンダ
- 無料オンラインイベントを開催中
会議の質を高めるアジェンダづくりに大切な考え方
当日はコパイロツトの米山より、アジェンダに関する大切な3つの考え方をお伝えしました。今回のレポートでは、その中の「②アジェンダ設計の型」について詳しくご紹介します。
②アジェンダ設計の型(フォーマットとサイクル)を作り、いつ・どのように作成すべきかをチームで習慣化する
③木も森も見る感覚で、アジェンダを設計する
「~について」というアジェンダをやめる
以下の議事次第のサンプルをご覧ください。「~について」という項目が繰り返し登場しています。このアジェンダを見ただけで、当日の会議で行われる内容を把握することはできるでしょうか?
・意思決定や合意のための時間なのか?
・情報共有を行うのか?
・アイデアを募集するのか?
会議の質を高めるという観点では、「~について」というアジェンダ作成はおすすめできません。会議の目的が不明瞭となり、主催者と参加者の期待値がずれることで、活発な議論が起こりにくくなるからです。
アジェンダの「What」「Why」「How」を明確にする
では、どのようなアジェンダを設計すれば、会議の目的をはっきりと伝えることができるのでしょうか? ポイントは、アジェンダの「What」「Why」「How」を明確にすることです。
(2)アジェンダの「Why」(なぜ)
(3)アジェンダの「How」(どのように)
例えば、「議事の運営について」というアジェンダからわかることは(1)「What」だけです。「~について」という表現には(2)「Why」や(3)「How」が含まれていないため、会議の目的がわかりにくくなります。
弊社が開発したクラウドサービス「SuperGoodMeetings」では、この3要素を網羅した項目がフォーマットとして用意されています。項目を埋めるだけで、誰でもポイントを押さえたアジェンダ設計をすることができます。
・運営を円滑に行うため、議事の進行方法のアイデアを集める
・議事運営に関する提案があったため、採用の可否を決定する
このように適切なアジェンダを設計するには、「アジェンダ設計の型(フォーマット)を作る」「いつ・どのように作成すべきかをチームの習慣にし、サイクル化する」、この2点のポイントを意識してみてください。それぞれ、以下でさらに詳しくご説明します。
ポイント①アジェンダのゴールを設計する
アジェンダ設計の型である「What」「Why」「How」の中で、一番重要なのは(2)「Why」です。Whyの項目では、「議論完了時に達成したい状態」をゴールとして設定します。
「達成したい状態」とは、「会議終了時、誰がどのような状態になっていることを目指すのか?」を指します。会議に参加しているクライアントの表情や納得度合いなど、「達成したい状態」を起点にして、そこから必要な成果物を定義したり、会議で議論したい内容をアジェンダへと落とし込んだりすることがポイントです。
ポイント②アジェンダの作成サイクルをチームで確立する
「アジェンダ設計は、プロジェクトリーダーやプロジェクトマネージャーだけが行っているので、これ以上その時間を増やしたくない」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。
そうした場合はアジェンダの作成サイクルをあらかじめ決めてしまうことで、その負担を下げることができます。
1) プロジェクト開始時にアジェンダを作成する
例えば、3ヶ月間のプロジェクトで週一回の定例会を行う場合、会議は合計12回。この12回について、いつまでに、誰から、何について合意を取らなければいけないのかを設計して、必要な会議のゴールをアジェンダとして落とし込んでおきます。
プロジェクト期間が半年以上かかる長いものであっても、初動の2~3ヶ月に関しておおまかな会議を設計しておくと、スムーズにプロジェクトが動き出せます。最初の設計は仮説ですので、状況に応じて変更点を反映させていきましょう。
2)毎回の会議終了後に「ラップアップMTG」を行う
毎回の会議が終わったあと、次回のアジェンダを設計する時間をあらかじめ取っておく方法もあります。
特におすすめしたいのが、ラップアップMTGの開催です。これは毎回の会議終了後、関係者で再度集まり、内容を振り返りながら次回のアジェンダを設計する場です。
ラップアップMTGをすることで、対応事項や担当者が明確となり、次の会議までの時間を有効活用できます。また、この場でメンバー全員からアジェンダ追記やアップデートの意見を募ることができれば、リーダーの負荷を下げられます。加えて、複数の視点からプロジェクトを捉える機会にもなり、早期のリスク発見やプロジェクトの品質向上にもつながります。
会議の質を高めることで、プロジェクトを成功させる
イベント最後の質疑応答では、参加者の方からいただいた質問に回答しました。当日出た質問と米山からの回答を一部ご紹介します。
A1. 参加者に会議の目的が伝わっていない可能性があります。また、「自分がアジェンダを出していいのかな」と不安な感情が隠れている場合もあります。
Q2. 役職の強い人の意見に、会議全体のアジェンダが引っ張られがち。役職の高い人同士の空回りした議論に時間が割かれています。
A2. 会議の場では「とりあえず話しはじめる人」が一定数います。ゴールを明確にするために、「この場でどこまで話し合えると良いか?」を相手に確認しましょう。
Q3. 決め打ちしたい会議であっても持ち帰りが増えてしまい、会議のゴールを設定できずに終わることもあります。
A3. 会議で達成したいゴールに幅を持たせることをおすすめします。「理想はABCすべて話したいけど、最悪Aだけでもよい」と最低ラインを決めることで、一歩進むことができます。
アジェンダ設計の方法を変えることは、多くの人が抱いている会議のイメージやあり方を問い直すことでもあります。会議の質を高めて、プロジェクトを成功させましょう。
今回ご紹介したのは、プロジェクト推進のために必要な知見のごく一部です。チーム・組織の状態やプロジェクトの内容などによって課題や対処法はそれぞれ異なりますので、ご興味のある方、プロジェクトの進め方に課題を感じている方は、ぜひお気軽に個別相談をご利用ください。
【フォーマット公開中】ミーティングアジェンダ
コパイロツトは、実際の会議でご活用いただけるアジェンダのフォーマットを公開しています。Googleスライド、Googleスプレッドシート、GoogleDocsの各種をダウンロードしてご利用いただけます。みなさまのプロジェクト推進にお役立てください。
質の高いアジェンダを設計できる「SuperGoodMeetings」
本日ご紹介したアジェンダづくりをはじめ、弊社の熟練したプロジェクトマネージャーが日常的に行っているファシリテーション・会議術を、誰もが実践できるクラウドツールとしてご提供しております。まずは無料で、1プロジェクトから始められます。お気軽にお試しください。
無料オンラインイベントを開催中
コパイロツトでは、定期的に無料オンラインイベントを開催しています。オンラインイベントは直接ご質問いただける機会にもなりますので、プロジェクト推進や会議、組織づくりやナレッジマネジメントなど、ご関心のある方はぜひご参加ください。
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