組織やチームでプロジェクトを進めていく際、次のような「言いたいことがうまく伝えられない」経験をしたことはありませんか?
- 締め切りが迫っているので、他のメンバーの進捗が遅れていることを指摘したい
- 上司に、もう少し具体的な指示をお願いしたい
- 自分の意見は少数派だが、会議でみんなの意見が偏っていると感じる
- 社内でのやり方が非効率なので、改善方法を提案したい
- 面と向かって言いにくいが、普段の感謝の気持ちを伝えたい
円滑なコミュニケーションを実現するために必要なのは、個々人の努力や勇気だけではありません。お互いの要望をスマートに伝え合い、協力しやすい仕組みを構築して、組織・チームの環境を整えていくことが効果的です。
今回は、2025年3月27日に実施したセミナー「言葉にできないあなたへ。言いづらいことをスムーズに伝えるチームコミュニケーション術」の内容をふまえ、どんな組織・チームでも小さく実践しやすい、プロジェクトをスムーズに進めていくためのコミュニケーション術をご紹介します。
▼セミナーイベント概要
言葉にできないあなたへ。言いづらいことをスムーズに伝えるチームコミュニケーション術(オンラインセミナー+ワークショップ)
開催日時:2025年03月27日(木)12:00-13:30(オンライン)
株式会社コパイロツト:プロジェクトマネージャー
主にシステム開発やワークショップ、イベント関連の企画運営のサポートなどに従事。より多くの方がプロジェクトを通じて自分らしく活躍できる環境づくりなどを日々考えながらサポート支援を行う。
- 「言いづらさ」がコミュニケーションを阻む要因とは?
- 個々人の中にある「気づき」を、本人が納得できる形で解消していく
- 「気づきトリアージ」を実践する3つのステップ
- 言いづらいことは「アイメッセージ」に置き換えて伝える
- 個々の「言いづらさ」を、チームの仕組みを頼って解消していく
- プロジェクト推進に関連するセミナーを開催中
- 参考|「会議の質を高めるノウハウ」関連記事
「言いづらさ」がコミュニケーションを阻む要因とは?
他者とコミュニケーションを取るときの「言いづらさ」「伝えにくさ」は、なぜ生まれるのでしょうか? その要因は、以下の3点に整理することができると考えます。
①自分の内面的な要因
衝突を避けたい/自分に自信がない/相手に嫌われたくない など
②文化や環境の要因
空気を読む文化/上下関係/周りの目が気になる など
③経験的な要因
以前失敗した経験/相手に伝えなくても解消した経験 など
特に規模の大きなプロジェクトになればなるほど、職種や立場はもちろん、考え方や価値観もそれぞれ異なる人たちと連携しながら仕事を進めていくことを求められます。そのためには、上記のような「言いづらさ」を都度解消し、各関係者と適切なコミュニケーションを取っていくことが不可欠となります。
個々人の中にある「気づき」を、本人が納得できる形で解消していく
コミュニケーションを円滑にしていくための手法は大小さまざま存在しますが、今回は、どんな組織・チームでもすぐに実行できるコミュニケーション術の一つ、「気づきトリアージ」をご紹介します。
気づきトリアージとは、違和感やひらめきを自分の中に持っておくだけでなく、自分以外にも共有し、本人自身が納得できる具体的な行動に落とし込んでいく手法です。
ここでいう「気づき」とは、プロジェクトとして掲げている理想の状態と現状との差分から個人が感じとっているさまざまな要素を指します。違和感やもやもやした気持ちのほか、新しいアイデアやひらめきなども含むと考えてください。
実際のイメージを掴んでいただくため、気づきトリアージを実際に行う様子を動画にしました。ファシリテーション役の、決まった問いかけ方に注目してみてください。
この手法には、自律型組織のホラクラシーで扱われているテンション トリアージや、組織・チーム内における助言プロセスを取り込んでいます。
気づきトリアージを実行することで生まれるメリット
些細な不安や言いづらいことをチーム内で共有できる場を持つことによって、以下のようなメリットが生まれます。
①不安などの問題がより拡大する前に共有し対処することができる
②プロジェクトへの参加感向上やメンバー理解向上につながる
③チームメンバーの自主性を引き出す
「気づきトリアージ」を実践する3つのステップ
ここからは、気づきトリアージを実践するときの大まかな手順をお伝えします。開催頻度としては、プロジェクトメンバーの現在地を確認する場として捉え、月1回、週1回など、定例ミーティングの中で定期的に実施することをおすすめします。
ステップ①:みんなでプロジェクトに対しての気づき(違和感やひらめき)を出して、次のアクションを考える
はじめのステップのゴールは、各自が持っている気づきを言語化し、次に必要となるアクションを「まず自分で」考えることです。
動画の中でも、気づきを共有した本人に対し、ファシリテーターが「次のアクションとして何が必要ですか?」と問いかけ、選択肢を提示していたかと思います。感情を共有できれば良いのか、誰かに手助けを依頼したいのか、まずは自分がどう考えているのかを提示してもらいます。
ステップ②:他のメンバーから次のアクションに対する助言をもらう
ステップ①で自ら出した気づきをどのようにアクションに落とし込んでいくか、他のメンバーに問いかけて助言をもらうのがステップ②のゴールです。
ステップ③:気づきから生まれたこれから取り組むアクションを確定する
気づきを言語化して共有し、チームメンバーの助言を得たうえで、最終的に自分自身が納得できるネクストアクションを確定させます。その場で解消できないことがあれば、また追加の会議をセットするとよいでしょう。
言いづらいことは「アイメッセージ」に置き換えて伝える
こうしたコミュニケーションの手法を使っていく際に、おすすめしたいポイントの一つが「アイメッセージ」をルールとして取り入れることです。
アイメッセージとは、「私」を主語にして自分の思っていることを言語化し、相手に配慮しながら自身の意見を伝える方法のこと。
例:伝えたいことをアイメッセージに置き換える
「あなたは、もっと早くこのタスクをやってください」
→ 「私はこのタスクが終わっていないことを心配しています」
立場や関係性が多様なプロジェクトチームでは、こうしたフラットなコミュニケーションが特に必要となるでしょう。チームのグランドルールとして推奨するなど、組織の仕組み・カルチャーとして取り入れるのも有効です。
個々の「言いづらさ」を、チームの仕組みを頼って解消していく
今回ご紹介した手法は、あくまでも多数あるノウハウの一部であり、すべての課題を気づきトリアージで解決できるわけではありません。
ただ、タイムリーにメンバーが今の気持ちを吐き出せる時間を定期的に作ることは、組織・チームにとって重要です。個々の気づきをチーム全員で受け止めていく場を作ることによって、プロジェクトが健全な状態で稼働できているかどうか、チェックすることにもつながります。
個々のがんばりだけに期待するのではなく、組織・チームとしてこうした場や仕組みを作り、メンバーがその仕組みを使ってコミュニケーションできる状態をぜひ整えてみてください。
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