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難しく考えずに、成果を出す「思考停止」のプロジェクトマネジメント[セミナーレポート]

「やることが多すぎて、だんだんとプロジェクト全体の推進力が落ちていく」コパイロツトにいただくご相談のうち、意外にも多いのがこうした内容です。

業務量だけでなく、対応しなければならない業務範囲もとても広いため、真面目に取り組もうとするほど時間とリソースが不足していきます。がんばっているのにプロジェクトが停滞してしまう、そんな状況を打開するのに有効なアプローチはあるのでしょうか。

今回コパイロツトでは「思考停止」というキーワードを使って、新しいプロジェクトマネジメントの手法をご紹介します。「思考停止」とは、すばり「必要なことを必要な時に考えること」。問いを明確にすることで、今よりもプロジェクトマネージャーの負荷を減らすことができます。ぜひ参考にしてください。

※本記事は2025年4月14日に開催されたオンラインセミナーより、内容を一部抜粋してご紹介します。


▼セミナーイベント概要
難しく考えずに、成果を出す「思考停止」のプロジェクトマネジメント
開催日時:2025年04月14日(月)12:00-13:00(オンライン)

話者 真野剛彦(まの・よしひこ)
株式会社コパイロツト:プロジェクトマネージャー

ポータルサイトなどで企業広報を経験したのち、編集者・ディレクターとしてウェブサイト、モバイルアプリなどのデジタル系の制作に携わる。COPILOTでは新規事業の立ち上げや、システム開発のプロジェクトを中心に、企画から直接ユーザーに届けるアウトプットの制作、リリース後の運用まで幅広い領域でPMとして従事。

「必要なことを必要な時に考える」というシンプルな原則

「思考停止」という聞き慣れない言葉に、驚いた方もいらっしゃるかもしれません。

これは言い換えると「必要なことを必要な時にだけ考える」ということ。当たり前の話に聞こえますが、リソースが逼迫する中では各作業をひたすらに進める前に本当に今それをやるべきか、の整理が重要です。

適切に「思考停止」するにはプロジェクトに関して2つの点で見極めが必要です。

1つ目は、他のメンバーではなく自分自身が対応すべき課題なのか?ということ。2つ目は、問題の発生を検知して考えるべきタイミングを見逃さないことです。

「思考停止」のプロジェクトマネジメントを実現する2つのポイントについて、以下から詳しくご紹介します。

ポイント(1)自分が解くべき課題の見極め方

「思考停止」の第一歩は、「その課題は解決すべきことで、さらには自分が担当すべきなのか?」を見極めることです。順番に3つのステップをご紹介します。

⁠ステップ①“問い”を明確にする

当日セミナーに登壇した真野からも「多くの人が混同しがちなポイントである」とお話ししましたが、プロジェクトマネージャーが考えることを減らすために「プロジェクトの課題」と「マネジメントの課題」を区別することがとても重要です。それぞれの意味をここで確認しておきましょう。

「プロジェクトの課題」とは、納期に間に合わない、無駄なコストが発生するなど、「現在地から成果物へのギャップ」を指します。プロジェクトの成果物・QCDに影響する課題です。(スライド内赤矢印)

もう一つの「マネジメントの課題」とは、会議の進行がうまくいっていないなど、「現在地から理想的なプロジェクト進行とのギャップ」のことです。(スライド内青矢印)

2つの課題のうち、優先して対応すべきは「プロジェクトの課題」です。

なぜなら、仮に理想的なプロジェクト進行が行われなかったとしても、要求を満たす成果物ができていればプロジェクトは成立しているといえるからです。

繰り返しになりますが、成果物に直結する優先度の高い課題は「プロジェクトの課題」です。もちろん「マネジメントの課題」を認識して理想の進行に近づける努力は必要ですが、「プロジェクトの課題」と比べると重要度はそれほど高くないと言えます。

まずは課題の性質を見極め、「プロジェクトの課題なのか? それともマネジメントの課題なのか?」を考えましょう。多くの人が区別していない大切なポイントです。

⁠ステップ②考える人を決める

次にプロジェクトの体制やスコープに応じて、「誰がその課題を考えるのか?」を決めていきます。

このとき必要になるのは、体制表やスコープ表です。体制表やスコープの整理は、一度作って終わりになることも少なくありません。しかしコパイロツトでは、これらを「誰が考えるべき問題であるか整理するためのもの」と捉えているため、プロジェクト開始時に作成し、その後も活用しています。

担当領域の整理が難しいときは、技術・ユーザー・ビジネスという3軸から役割の整理を始めるのがおすすめです。もし体制やスコープが曖昧になっているプロジェクトがあれば、この3軸から着手してみてください。

ステップ⁠③自分が担当となった課題を解く

ここまでのステップで問いを明確にし、考える人を決めることができました。

そして、最後に自分が担当すべき課題だという判断になれば、その課題に取り組みます。言うまでもありませんが、ここでは思考停止することなく解決に向けた取り組みが必要なところです。

すべてではありませんが、書籍やフレームワーク、生成AIなどを活用することで、一部を「思考停止」することも可能となる部分です。

次では、ここまでにご紹介した3つのステップを踏まえて、具体例をひとつ考えてみましょう。

⁠課題の性質を見極めることが大事

プロジェクトで起こりがちな「会議がうまくいかない」という問題。

スライドにあるように今回の例では、(1)スケジュールが間に合わない、(2)無駄なコストが発生している、(3)品質が偏る/下がる、(4)メンバーのモチベーションが下がるという4つの課題が出たものと仮定します。

多くのプロジェクトマネージャーは、この4つの課題すべてに対応しているのではないでしょうか。

適切に「思考停止」するためには、まずは“問い”を明確にしなければなりません。4つの課題は「プロジェクトの課題(成果物の課題)」なのか、それとも「マネジメントの課題」なのかを最初に考えることが大切です。

すると、プロジェクトマネージャーが担当すべきマネジメント領域の課題は、4つのうち1つであることがわかります。

残りの3つは「プロジェクトの課題」、つまりプロジェクトのQCD(品質・コスト・デリバリー)へ影響する成果物の課題となるため、体制表やスコープ表に従って、適切な担当者へ割り振るというアプローチが取れるようになります。

このように課題を見極めたことで、プロジェクトマネージャーが対応すべき課題を絞り込むことができました。

ポイント(2)タイミングの見極め方

ここからは、課題を考えるべき適切なタイミングについてご紹介します。

残念ながら私たちは、プロジェクトでいつどのような問題が発生するのかを知ることはできません。完璧な予測も不可能です。課題を考えるべき適切なタイミングとは、いつなのでしょうか。

この場面で求められるのは、「検知」という考え方です。プロジェクトの「計画」と「現在地」をモニタリングすることで、その差分から問題を検知することができます。

タイミングの見極めについて、デリバリー領域を例に考えてみましょう。
スケジュールが「計画」、進捗報告が「現在地の把握」に該当します。「計画」と「現在地」に大きなギャップがあることがわかった時点で、課題に対応すべきタイミングだと判断できます。

会議やレビュー、管理表などを活用しながら、プロジェクトの「計画」と「現在地」のギャップを確認するようにしましょう。

今問うべきことを見極め、適切に「思考停止」しよう

「思考停止」のプロジェクトマネジメントとは、引き算のアプローチです。プロジェクトマネージャーの扱う範囲が広くやることが多いからこそ、問いを見極め、必要なことを必要なときに考え、それ以外は別のことに時間を使ってみませんか。

こちらのフローチャートも参考にしながら、「思考停止」のプロジェクトマネジメントのエッセンスを実践してみてください。

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