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「両利きのプロジェクトマネジメント」出版記念イベントー論理と感覚の間で[レポート]

2025年6月、長年にわたりさまざまなプロジェクト推進を支援してきたコパイロツトのメンバーが、初の著書『両利きのプロジェクトマネジメント ー 結果を出しながらメンバーが主体性を取り戻す技術 』を上梓しました。

出版に先立って実施したオンラインイベントでは、本書を通して伝えたかったこと、内容の一部をご紹介しました。今回はその様子をダイジェストでレポートします。

内容に興味を持ってくださった方は、ぜひ書籍をお手に取っていただけたら幸いです。


▼セミナーイベント概要
「両利きのプロジェクトマネジメント」出版記念イベントー論理と感覚の間で
開催日時:2025年06月4日(水)12:00-13:00(オンライン)

話者 米山 知宏(よねやま・ともひろ)
株式会社コパイロツト Project Enablement 事業責任者/新潟県村上市役所 CIO 補佐官

東京工業大学大学院社会工学専攻修了後、株式会社三菱総合研究所、新潟県新発田市役所を経て現職。民間企業や自治体におけるデジタル・トランスフォーメーションや組織変革を支援しながら、プロジェクトを推進する方法論を探究している。探究成果は株式会社コパイロツトのブログ Speaker Deck で公開している。


長谷部可奈 (はせべ・かな)
プロジェクトマネージャー/ファシリテーター/コーチ

株式会社コパイロツト。両利きを実践する者として本書の執筆に伴走。SIer に 18 年勤務、書籍を中心にした対話の場づくりに情熱を注ぐ。

今、プロジェクトに携わるすべての人に伝えたいこと

本書『両利きのプロジェクトマネジメント』を通じて、特に伝えたいポイントは大きく2つに集約されます。

1)現代のプロジェクトを乗り越えていくためには、「直線的なモード」と「曲線的なモード」の両方を使いこなす必要があること

直線的なモード 曲線的なモード
ゴールを目指してまっしぐらに進む 脇道で新しい発見をしながら進んでいく
論理、合理性、計画、スピードを重視する メンバーの完成、柔軟な変更を重視する

2)プロジェクトマネージャー1人ではなく、チーム全員でリーダーシップをシェアしながらプロジェクトを推進すること

なぜ、このような考えにたどり着いたのか。それは、コパイロツトがこれまで携わってきたプロジェクトを通じて、クライアントから寄せられたさまざまな悩みや課題と向き合ってきたからです。

理解不可能な「BANI時代」のプロジェクトが抱える課題とは

近年、推進されているプロジェクトの多くは、いくつかの共通の課題を抱えています。

例えば、リーダーもメンバーも互いに孤独な状況であること。プロジェクトマネジメントは「個人のスキルの問題」だと捉えられていることが多いため、各自がそれぞれ何とかするしかなく、協力し合う、サポートし合うことができていないケースがよく見受けられます。

また、チーム内で価値観が偏っていることもよくあります。関係者が、「リーダーとはかくあるべき」「仕事はこう進めるのが正解」など、これまで主流とされてきた考え方に囚われてしまっている状態です。

このように「プロジェクトがうまくいってない」現象が多々観測される理由は、やはりプロジェクトの状況に対する理解がアップデートされていないからではないかと、私たちは考えています。

数年前まで、時代性を表す表現として「VUCA(不確実の時代)」という言葉が使われていました。それが今後は「BANI(理解不可能な時代)」に突入するといわれています。

脆く不安な状況で、感情や理解できないことにも向き合っていく必要がある。こうした時代の流れの中では、従来と同じようなプロジェクトの進め方が難しくなりそうだと、感覚的にも理解していただけるのではないでしょうか。

現代のプロジェクトの状況に適したマネジメントをしていくには、もはやどれか一つの方法論だけでは通用しないでしょう。自分たちに最適な形でカスタムメイドしていく必要があります。

リーダーなど特定の誰かが苦労するのではなく、みんなでリーダーシップをシェアしながらプロジェクトを進めていくこと。それと同時に、プロジェクトを通じてチーム全員で学び、ともに成長しながら自分たちが使いやすいプロジェクトマネジメントの道具をつくる。そのための思考法をインストールすること。

それこそが、これからのプロジェクト推進に必要な「両利きのプロジェクトマネジメント」です。

プロジェクトの見方を変える3つの世界観

プロジェクトへの理解をアップデートするためには、まず、3つの世界観を意識することが大切だと考えます。

もちろん、プロジェクトの状況によっては、一人のリーダーがチームを引っ張っていくような、従来の手法が有効なときもありますし、それが完全になくなるわけではありません。

しかし、そうした“強いマネジメント”だけに頼ることは、もう限界なのだと思います。これからは、プロジェクトマネジメントに関するスキルを個人の問題と捉えるのではなく、上記3つの世界観を意識して「チームみんなで」取り組むことが必要です。

プロジェクトを“両利き”で進めていくために意識したい3つの軸

では実際に、こうした「両利きのプロジェクトマネジメント」を実行するにはどうすればよいのでしょうか。本書内では、みなさんに意識していただきたい3つの軸をご紹介しています。

1)思考軸(左脳と右脳)

「左脳」的な要素とは、数値を重視したり、合理的な管理を行うこと。対して「右脳」的な要素とは、メンバーの感情や思い、雑談的な対話を大切にすることです。

2)時間軸(過去と未来)

過去の経験やプロジェクトの背景、目の前のことと未来への学び、そして一歩先の未来と実現したい状態、成果を行き来します。

3)組織軸(個人と集団)

メンバー個人の思いを大切にしつつ、組織からの要求や、プロジェクトの社会的意義を考えることも重要です。

それぞれの軸を行き来したり、ズームイン・ズームアウトしたりを繰り返し、バランスを取り続けることが「両利きのプロジェクトマネジメント」の実践につながります。目線や思考が偏っていないか、常にチーム全員で確認してみてください。

プロジェクトの「ペースメーカー」として、定例会議の場を活用する

3つの軸をチームで確認する場として、コパイロツトでは定例会議の活用をおすすめしています。

定例会議という場を設けることで、次のような機会として活用することが可能です。

1)共通認識をつくる

プロジェクトの状況をチーム内で共有し、チームの認識をそろえることができます。

2)柔軟に対応する

週1回の定例会議を実施すると、刻々と変わる状況に合わせて、進め方や方針をその都度全員で見直し、修正・チューニングすることができます。

3)リズムを生み出す

メンバー同士で対話を重ねたり、継続的に顔を合わせたりすることによる、チームの関係構築ができます。また次回の定例会議が、各自のタスクの進捗などを含むチェックポイントとしても機能します。

<直線>のための定例会議 <曲線>のための定例会議
合理的・スピーディーに進めることを重視 メンバーの感性、柔軟な変更を重視
・プロジェクトのゴールから逆算して必要な定例会議を設計して、定期的に意思決定・対話ができるようにする ・メンバー各自が見ているもの、感じていることを共有し、お互いの考えを知る
・事前にアジェンダを用意して、会議をスピーディーに、時間通りに進行する ・メンバー各自の違和感・もやもやがあれば共有し、対処していく
・会議後は議事録をすぐに共有して、必要なタスクが着実に実施されるようにする ・対話を通じて、プロジェクトのゴール自体を見直したり、問い直していく
・雑談の時間も大切にして、みんなで学び合いながら、チーム内の関係性を育み続ける

このように論理も感性も大切にする、これからの時代の「両利きのプロジェクトマネジメント」のあり方を、みなさんと一緒に探究し続けていきたいと思っています。

他者とともに物事を為すことは難しい。
だからこそ、創造性を発揮しよう。

内容に対する創造性のみならず、
他者とともに物事を為すための考え方や振る舞い方についての創造性を。

その創造性を仲間とともに発揮することが、
プロジェクトを自分たちの手に取り戻すための道である。

『両利きのプロジェクトマネジメント』より引用

質疑応答:「両利きのプロジェクトマネジメント」を実践するには

当日は参加者のみなさまから、さまざまなご質問を寄せていただきました。質疑応答の一部をご紹介します。

Q1:よく言えば「控えめ」、悪く言ってしまうと「人任せ」である性格のメンバーが集まっていたとしても、本書で書かれているようなプロジェクトマネジメントは遂行できるでしょうか?

A1:主体性は、各自の努力によって個人が見出すものではなく、対話を通じてお互いに引き出し合うものだと考えます。(※書籍の8章をぜひご覧ください)

お互いにどのような役割を期待しているか、どんなことを任せたいと思っているのか、ロールセッションなどを通じた対話によって「他者からの期待に応えたい」気持ちを引き出し、それぞれの主体性を育んでいく環境をつくってみてください。

Q2:プロジェクトリーダーやメンバーに対し、「両利きのプロジェクトマネジメント」の重要性を十分に伝えるためにできることは?

A2:リーダーだけではなく、メンバーも同じ認識を持っていることが望ましいです。その際に重要なのは、抽象的な概念として意識するのではなく、具体的な行動で示すことです。

おそらくみなさんはすでに、直線的なモードと曲線的なモード、それぞれ何かしらのアクションを実行されていると思います。例えば、ミーティング前のアジェンダ設計や議事録共有は「直線的」、全員で付箋に意見を書き出して雑談する時間をつくることは「曲線的」など、一つひとつの行動がどちらのモードなのか、その意味を都度捉えなおし、実践を通してみなさんとその考え方を共有していってください。

Q3:「両利きのプロジェクトマネジメント」を実現するために、週1回30分の定例会議の時間だけで本当に足りるのでしょうか?

A3:前提となる価値観やそれぞれの思いのすり合わせが十分にできていれば、会議の時間は削減していけると考えます。ただ「30分」という時間に絶対的な意味があるわけではありません。何でも短ければいいわけではないですし、必要な議論をじっくり時間をかけて尽くすべき場合もあります。

また各回はわずか30分であっても、1か月で考えると4回(2時間)の時間があることになります。この時間をどう使っていくか、長い時間軸でプロジェクト全体を見てみるのも良いでしょう。

直線的なモードによって効率化し、捻出した時間を別途、曲線的なモードの時間に活用するのも良いと思います。「そもそもこのプロジェクトは、どんな状態になればよいのか」という議論を改めてする、「新しいスキルを習得したいと言っていたけど、どう?」など、個々のチームメンバーと対話する時間をつくる、など。

ただ単に効率化を推進するだけではなく、プロジェクトの関係者全員で考え、大切なことに時間を使っていくことを意識していただけたらと思います。


【書籍情報】

書名:『両利きのプロジェクトマネジメント ー 結果を出しながらメンバーが主体性を取り戻す技術 』
著者:米山 知宏
定価:2,420円(税込)
発売:2025年6月16日(月)
発行:翔泳社

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※本イベントの様子は、ビジネスメディア「ログミーBusiness」にも掲載されています。全編の詳細な内容を知りたい方は、こちらからご覧ください。

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