プロジェクトマネジメントの現場で飛び交う、多種多様な無茶ぶりにどう対処するか。多くの人が経験している「現場あるある」を、どうすれば解消できるのか。
2025年9月12日(金)に開催された株式会社PARTY主催のイベント「TECH PM NIGHT!」に、コパイロツトメンバーが参加しました。「現場で飛び交う“無茶振り”にどう向き合うか」をテーマとしたライトニングトークにて、当社が得意とする定例会議を活用したプロジェクト推進の手法から、一般的によく見られる「会議あるある」を解消するヒントをお伝えしました。
このレポートでは、イベントにてみなさんにシェアした内容を、一部ダイジェストでご紹介します。
▼イベント概要
「TECH PM NIGHT!」(主催・企画・運営:株式会社PARTY)
開催日時:2025年9月12日(金)17:00〜21:00
本イベントは、現場でプロジェクトを動かしているプロジェクトマネージャーたちが集う場。「変化の激しいテック業界の中で、どのようにプロジェクトを前進させ、チームを導き、ユーザー価値を最大化していくのか」――現場のさまざまな知見をシェアしながら、今後のPM像について語り合う目的で開催されました。
- 3つの「会議あるある」を解消する方法
- あるあるその①:結局何も決まらないまま会議が終わる
- あるあるその②:議題が多すぎてどれも中途半端で終わる
- あるあるその③:なにが決まったのか曖昧なまま終わる
- アジェンダの構成要素が明確であるほど、会議の質は上がる
3つの「会議あるある」を解消する方法
日々みなさんが参加している会議では、プロジェクトマネージャーやリーダーがファシリテーション役を務めることが多いと思います。しかし「会議をうまく進められていない」と悩む声を多く聞きます。
知見がないまま会議のファシリテーションを行うことは、ある意味“無茶ぶり”に近いことかもしれません。
みなさんがよく直面しているであろう「会議あるある」を、今回は3つピックアップしました。それらの課題に対してコパイロツトが行っている対応方法を、それぞれご紹介します。
②議題が多すぎてどれも中途半端で終わる
③なにが決まったのか曖昧なまま終わる
あるあるその①:結局何も決まらないまま会議が終わる
例えば、会議の中で「今後の進め方について」というアジェンダが設定されていたとします。このアジェンダだけ見ると、いくつかの疑問点が浮かびます。
- 何を決めたいのか?
- 何を議論したいのか?
- 今日の会議でどこまで決めるのか? など
会議で何も決まらない原因は、設定されたアジェンダに対して、上記に挙げたようなポイントが明確になっていないことにあります。結論に達しているのかどうかを判断する基準が定まっていないため、落としどころがわからず参加者が話を続けてしまい、時間切れになってしまうのです。
アジェンダを立てる際には、そのアジェンダを完了する際に誰がどのような状態になっているべきか、「達成したい状態」を明確に定義することが重要です。
達成したい状態を明確にすることによって、必要となる成果物や、適切な議論の進行方法なども変わります。

ゴールを設計する際のコツは、複数の段階を設けること。高すぎるゴールを設定してしまうと議論に時間がかかるため、ゴールをいくつかに分けてみてください。(下図参照)十分な議論がなされないまま、結論を出さなければならない状況を回避できます。

あるあるその②:議題が多すぎてどれも中途半端で終わる
すべてのアジェンダを、「とりあえず」で上から順番に話してしまっていないでしょうか。その進め方では、会議の時間がオーバーしてしまうケースが多いと思います。
まずは挙げられたアジェンダを並べて、「今日必ず決める(議論する)必要がある」ものはどれか、それぞれのアジェンダについて議論するために必要な時間はどのくらいか、目安を設ける必要があります。
コパイロツトでは、会議の冒頭でアジェンダの優先順位とかかる時間を決めて進めています。決めた時間をオーバーしてしまった場合は、続きの議論をどうするか改めて選択します。
<会議冒頭で行っていること>
- アジェンダを読み上げ
- 追加アジェンダを確認
- 優先順位(順番)を決める
- 各アジェンダにかける時間を確認
- 会議内で議論できないアジェンダがあった場合の対応を決める(※)
- 各アジェンダ スタート
※会議を延長して必要なメンバーのみで会議を行う、別途分科会を開催する、Slackでやり取りするなど
<アジェンダの時間がオーバーした場合>
- 予定していた時間がオーバーしている
- このまま続けたほうが良さそうか、参加者に問いかける
- この場で話しておきたい → 他のアジェンダの優先順位を調整する
- 次回の会議で話せば良い → 次回の会議アジェンダに登録する
- 時間が余ったら話したい → 会議の最後のアジェンダに移動する
- 必要メンバーで分科会を設けたい → 分科会日程を調整する担当を決めて終了
あるあるその③:なにが決まったのか曖昧なまま終わる
会議でいろいろなことを話したのに、決めたはずのことが明確な共通認識になっていないこともよくあることだと思います。
そもそも人間は、話した瞬間から記憶が薄れていく生き物です。また発生ToDoを話している人と、それを聞いている他の参加者の認識がそもそもズレていることもあります。参加者それぞれの記憶や解釈で認識され、決まったことが曖昧なままになってしまうのです。
こうした認識のズレを解消する手段の一つは、とにかく徹底して議論を可視化することです。コパイロツトでは、ドキュメントツールやオンラインホワイトボードなどを活用しています。

また会議の終了時には、可視化した情報を読み上げながら、全員で改めて決定事項やToDoについて認識をすり合わせています。この段階で認識にズレがあれば、その場で調整をします。

アジェンダの構成要素が明確であるほど、会議の質は上がる
今回は会議内のアジェンダの扱い方、進め方を中心に「現場あるある」とその解消方法をご紹介しました。一つひとつのアジェンダの構成要素が明確にされていて、きちんと説明できる状態になっていれば、会議の質が上がっていきます。
いきなりすべてを完璧にするのは難しいかもしれませんが、まずは身近な会議で取り入れられそうなところから、実践してみてください。
| 要素 | 決めるべき内容 |
|---|---|
| アジェンダタイトル | 何を議論したいのか |
| 種別 | アジェンダの種類は何か(発散・収束・共有) |
| ゴール(達成したい状態) | 議論が終わった時にどういう状態にしたいか |
| ゴール(成果物) | 議論が完了時に目視可能なアウトプットは何か |
| 進行方法 | 議論をどのようにすすめるか |
| 目的・理由(背景) | 議論する理由・目的・背景は何か |
| 時間 | ゴール達成するために必要な時間はどのくらいか |
| 担当者と対象者 | 誰から誰に対しての意見がほしいのか |
| 使用ドキュメント | 議論をするために必要な情報は何か |


