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「PCCでの学びが、困ったときに立ち返る場所になる」受講との並行で加速した、ヴェネクト社の組織づくりプロジェクト - PCC1期参加メンバー対談インタビュー Vol.5

こんにちは!共創型オンラインカレッジ「Project Climbing Challenge(PCC)by COPILOT COLLEGE」運営事務局です。

今回はPCC1期に参加いただいたヴェネクト株式会社の大森さんが、社内全体のプロジェクトマネジメントオフィサー(以下、PMO)として、PCCでの経験をどのように業務上で実践していったのか追加取材した内容をお届けします。
「組織づくり」のプロジェクトに取り組まれたということで、同社代表の大脇さんにもご参加いただき、お二人の対談という形でその実例をお話しいただきました。

大森さんの単独インタビュー記事はこちら👇 blog.copilot.jp

大脇 香菜さん(写真左) ヴェネクト株式会社 代表取締役 CEO。同社はデータを軸に、マーケティング戦略の立案から施策の設計・実行まで一気通貫したマーケティング支援を手がけている。

大森 安希子さん(写真右) ヴェネクト株式会社 経営企画。社内全体のPMOとして常時数百存在するプロジェクトを横断して管理し、会社の全体・個別最適に繋がる対策の考案・実行に従事。

会社情報
ヴェネクト株式会社
VENECTは創業から10年で累計1000件以上のブランドのマーケティング支援をプロジェクトとして実行支援しております。 生活者にとって最適なブランド体験を設計し、ブランドの価値を生活者に届けるための調査・分析を行い、 データを基にしたマーケティング戦略立案、施策設計・実行までを一気通貫したマーケティング支援を行なっております。
https://www.venect.jp/

プロジェクトマネジメントは、少数精鋭組織にこそ必要

— はじめに、ヴェネクト株式会社さん(以下、ヴェネクト社)ではプロジェクトマネジメントにどのように取り組まれているかお聞きしてもよろしいでしょうか?

大脇さん(以下、敬称略):弊社は戦略立案やデータ分析、クリエイティブなど、幅広い領域でクライアントさまのご支援を行っています。所属メンバーはそれぞれに役割も進行状況も異なる多数のプロジェクトに携わりますが、領域が広く関わる人数が多いからといって、プロジェクトにおいてのコミュニケーションコストが上がってしまっては会社として非効率です。

また弊社は中途採用も多いため、前職での仕事の仕方や担う役割との違いなどによって、新しいメンバーが「プロジェクトの進め方がわからない」と躊躇してしまう可能性も考えられます。

そのためプロジェクトマネジメントにおいては、どのような場合でもコミュニケーションコストが変わらない仕組みをつくることが大切だと考えています。プロジェクトマネジメントのスキルは、どんな役職、役割でも強化しなければいけないスキルセットですね。

— そのように強く思われたきっかけや理由はなんでしょうか?

大脇:少数精鋭の組織として、社員一人ひとりが強みを発揮できる領域を広く持ってほしいと思っています。

しかし、弊社のように幅広いプロジェクトに対応している場合、強みの深さと領域の広さを両立するのは非常に難しいですよね。領域を狭めればスピード感を持ってスキルやノウハウを習得し、業務を回していけますが、局所的な対応しかできなくなるのは望ましくありません。そのため、少し欲張りかもしれませんが、弊社メンバーにはプロジェクトマネジメントのスキルを身に着けることによって、迅速にいろいろなことに対応できるようになってほしいと考えています。

それに、会社としてプラスアルファの動きをしていきたいときに誰かが気合でがんばるのではなく、効率的に攻めと守りの役割を分担しながら進めていけるという点でも、プロジェクトマネジメントは重要なスキルだと考えます。

大脇さん(写真左)と大森さん(写真右)
感染予防対策の上、撮影時のみマスクを外して撮影をしています。

— 大森さんは2021年3月にヴェネクト社に入社されて、どのような立場を担い、なぜPCCに参加されたのかを改めておうかがいできますか?

大森さん(以下、敬称略):前職の事業会社では、商品部やマーケティング部、システム部など、社内のさまざまな部署を繋いでプロジェクトを推進することがプロジェクトマネージャーのメイン業務でした。現在はヴェネクト社全体のプロジェクトを見るPMOという立場を担っており、常時数百存在するプロジェクトを横断して管理するなど、今までよりひとつ上の目線を持つことが求められています。

どのように社内の各プロジェクトマネージャーと連携して動いていくのか、どのように会社全体として滞りなくプロジェクトを動かしていくのか。そういった「会社全体の組織づくり」という視点で考え、まだまだ自分はスキル不足だと感じ、PCCにはそれ自体をテーマ課題として参加することにしました。

講義と実践はリアルタイム。支えがあるから、さまざまな意見とも向き合える

— 今大森さんがおっしゃった通り、今回のPCC参加にあたっては「“会社全体の組織づくり”というプロジェクトを、どうマネジメントするのか」という命題を持たれていましたね。受講から実践まで、どのように進めていったのでしょうか?

大森:「こういう会社組織にしたい」という大脇さんからのオーダーを受けて、まずは現場のプロジェクトマネージャーへの橋渡しを仕組み化できるよう動きました。PCC受講に合わせて大脇さんと週次の定例ミーティングを設け、進め方を提案し、ゴールを設定、壁にぶつかったら相談して……と、PCCでその週に学んだことをリアルタイムで実行していきました。

大脇:組織づくりというプロジェクトは、現場の仕組みの整備だけでなく、会社としての仕組みづくりやインシデントを解消する仕組みづくりなど、どれも難易度が高いものばかりです。ですから週次の定例ミーティングは本当に大切で、二人で会社組織のことだけを話し合う時間にしていました。

大森さんは、毎週PCCでの講座を通じて課題のワークにのみ取り組むのではなく、参加メンバーの皆さんからフィードバックをもらったり、仕事の悩みや課題感を共有したりと、PCCという場をうまく活用していましたよね。

やはり、経営企画の方や組織全体のプロジェクトを担っている方は、なかなか社内では悩みを共有しにくいのではないかと思います。でも同じようなレイヤーから物事を見ている方々と話せる場があると、悩みを共有するだけでなく、「それならこんなふうにやってみたら?」と前向きな話をすることもできますよね。そうやってPCCをうまく実務と連携してくれたことで、組織づくりのプロジェクトが着実に進んでいるのをそばで実感していました。

— お二人で方針や内容をすり合わせた後は、社内の方々に展開していくフェーズかと思います。どのように働きかけ、このプロジェクトを推進していったのでしょうか?

大脇:会社としてどのようにメンバーをマネジメントしていくのか、リスクを回避していくのかといった部分を、中間管理職にあたる現場マネージャー層のメンバーにインプットしていきました。どうすれば彼らと一緒に会社組織をつくっていけるのか、その巻き込み方についても、PCCで学んだことを実践してもらいました。

やったこととしては、まず全社会で発表する機会をつくりました。こういった講座を受けたという事実を知ってもらうことで、みんなが「大森さんはこの領域でのプロジェクトマネジメントについて学んでいる人なんだ」と認識してもらった上で、PMOとはどういうポジションなのかをまずは知ってもらうことから始めてみました。

もちろん1回の発表では、なかなか内容までは理解が及ばないと思います。それでもこの発表によって、「そういうことを学んでいるから、大森さんはこう発言するのか」と、考えや視点を理解してもらいやすくなったのではないかと思います。

大森:実際に現場のプロジェクトマネージャーから、PMOとしての視点で意見を聞かれることが徐々に増えてきた感覚はありますね。

— 社内のメンバーから「ここがわからない」「ここはちがうんじゃないか」といった反応もありましたか?

大脇:もちろんありましたが、それはさまざまな意見を出して議論しあえる土壌ができたということ。いつかやらなければいけないとみんなが認識していたことを、大森さんが体系立てて形にしてくれたおかげです。メンバーからのフィードバックや意見を受け止めて、「それならこうしてみよう」と打ち返すことを繰り返しているうちに、気づいたら形になっていました。

でもそれも、PCCを受講して立ち返る場所ができていなければ、もっと難しかっただろうと思います。さまざまな意見が出てきたときにどう軌道修正するのか、PCCを受講していなかったら、毎回悩んでいたんじゃないかな。

大森:以前は、「会社が言っていることがわからない」という現場からの声もありました。会社としては「3年後、5年後には、こういう風に進んでいきたい」というメッセージを発信していたのですが、現場のメンバーからするとその内容が理解しづらかったり、自分の言葉として語れるところまで落とし込めていなかったことで、さまざまな反応が起こっていました。

でも現場のメンバーたちも、目的や意図がわかればそれに向けて動いてくれるし、「こうした方がいい」と意見ももらい、一緒に前に進もうとしてくれます。そうやってPCCのあとも、約半年かけてこのプロジェクトに取り組んできたことで、「まずは聞いてみる」「向き合ってみる」という姿勢や仕組みを社内につくることができたと感じています。

問い直しを共にできる“バディ”を。独りにならない仕組みの重要性

ー 組織づくりというプロジェクトを進めてきて、どんなことが重要なポイントになると感じていらっしゃいますか?

大森:組織づくりは、半年や1年で終了する短期的なプロジェクトとは少々重みが違うと感じています。まず決めたことを実行するのに1、2年かかりますし、そのうえ組織内のメンバーも入れ替わりながら成長していくことが前提です。そもそも終わりがなく、そう簡単に大きな軌道修正もできないため、「失敗したから次に活かそう」というわけにもいきません。マイルストーンを意識しつつ、見えていないことはないか見定めながら進めていかないといけないのは、怖さもあり、その責任を負ってプロジェクトを動かしているということを常に忘れないようにしていました。

大脇:進む道を決めるにあたっては、「これでいいのか」と常に問い直し続けていましたよね。道を見失わないように、主導する私たちがしっかり意識を持ち続けなければいけません。毎週必ずミーティングの時間を確保して、二人の間のコミュニケーションが途切れないようにしていたのはそのためです。会社の変化もリアルタイムで共有し、お互い情報が新鮮な状態で問い直しを重ね、繰り返し優先順位を調整していました。

組織づくりのプロジェクトに限りませんが、PCCを受講する方は、私たちのように誰かと毎週時間をとってワークを行うなど、独りにならないようにするといいかもしれません。

誰かにバディとしてついてもらい、最後のラップアップまで一緒にやる。変化したことやわからなかったことをバディの方からもフィードバックしてもらえるし、自分がどれだけプロジェクトに真摯に向き合っていたか伝えることもできます。「巻き込んでもいい人」が一人でもいることで、客観的なフィードバックがもらえる環境をつくるのがおすすめです。PCCでそのような仕組みがあるとうれしいですね。

ー 確かにそうですね。お二人の関係はとても理想的だと感じました。では最後に、ヴェネクト社での組織づくりのプロジェクト、現状はどのぐらいの地点にいて、今後どのようにしていきたいか、教えてください。

大森:到達地点としては、現在は80%くらいです。これまでの約半年間は、大脇さんを巻き込みながら、小さな仕組みを一つひとつつくってきました。今はそれを現場に共有し、リーダー職のメンバーたちが実践できるように定着させるフェーズに来ています。

発表の機会もあったことで、私がこういった組織づくりのプロジェクトを進めていることは既に知られているので、現場のメンバーから「いつまでに何をやるんですか」と聞いてきてくれるようになりました。土壌ができたので、これからは現場の意見も拾いながら進めて行きたいと思います。

大脇:80%の地点まで来てはじめて、「まだまだ道は先にある」と気づけた部分もあります。そう考えると、今は30%程度なのかもしれません。でもそれは、この地点まで進んできてはじめてわかること。約半年で現場の案件と良い距離感がつくれてきたことで、経営企画というレイヤー自体の視座も一段高くなったのではないかと思います。

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