COPILOT Newsletterはプロジェクト推進支援の現場や学術研究から得たプロジェクトマネジメントに関する最新ナレッジ・方法論などのコンテンツを不定期で配信しています。
今回は、2021年12月15日に配信された『人間中心のプロジェクト推進の方法を可視化する』を再編集し掲載します。
人間中心のプロジェクト推進の方法を可視化する
2021年10月4日にPMBOK® Guide 7th Editionの日本語版がリリースされ、私もさっそく読んでみました。PMBOK®というとこれまでウォーターフォール型のプロジェクトに最適化されている印象でしたが、7th Editionからは随分趣が変わり、アジャイルなプロジェクトも含めた汎用的なものになっていました。
先月、私はこのニュースレターで、「プロジェクトとは期日と成果物が伴うものである」という定義から離れたくなってきたことを書きました。なぜそのことを熱心に考えていたかというと、現実にある状況を見ず期日と成果物を優先させるのは、プロジェクトに関わる人間にあまり注目していないのではと、現場で働くなかで繰り返し感じてきたからです。
プロジェクトはそもそも、ただ実行することだけが目的ではありません。みなさんもご存じのとおり、現実にどのような価値提供が必要とされているか、という問いなくして、プロジェクトがゴールへ進み始めることはむずかしいのです。
プロジェクトがしっかりと形づくられる前の最初期にはとにかく小さな実験と学習を繰り返すことが重要です。その実験と学習が繰り返されるうちに現実と結びついた、チームにとって納得感のあるビジョンやゴールが出来上がってくるのではないか、そんな風に感じてきました。
私たちのプロジェクト推進メソッドProject Sprintは人間中心のプロジェクト推進の一つの形です。これまで現場では存在しつづけてきた方法であり、けっして新しいわけではありません。それをなぜひとつの知識体系としてまとめたいと考えたのか。それは、方法を言語化し、定義し、名前をつけることで、それぞれの現場で実践するひとたちの後押しにもなるのではないかと思ったのです。方法を誰かに紹介しやすくもなるでしょうし、これまでの実践の後ろ盾のひとつになれたらとも思います。
知識や知見は囲い込むのではなく広くシェアされ、使われることで、より発展していきます。だからこそProject Sprintをオープンソースにしているのです。誰が使ってもいい、そして現実に合わせてカスタムしながら利用してほしい、なにより、その実践の過程でもっと良い方法が生まれたならば教えてもらいたい、と思っています!(笑)
そんなことを考えながらアップデートしたProject Sprintの新バージョンが近日公開予定です。今回からEssentialsはあくまでもこのメソッドのコアを記載するにとどめ、このメソッドを支える重要な要素についてはProject Sprint 101というコンテンツにまとめました。公開されましたら、ぜひ読んでいただけたらと思います。 来年は、この新たなメソッドを意識しながら、SuperGoodMeetingsの改善を推し進めていく予定です。SuperGoodMeetingsがもっと使いやすくなり、プロジェクトを推進するチームと、そこに加わっているみなさんを支えられるよう、取り組んでいきます。
――Motoi Sadakane
Appendix
プロジェクトを始めるタイミングで重要なのは、問い直されにくい前提を確認すること
誰しも、プロジェクトが動き出してしまうと、どうしても目の前のタスクに追われてしまい、本質的な視点を失ってしまいがちになるため、「そのプロジェクトとして確認しておくべき前提や本質的な論点・問い」を共有しておけるとよいのではないでしょうか。
本記事では、プロジェクトを始める際に考えるべき点として、コパイロツトの米山が大切にしている以下の3点について検討します。
- Why:「なぜ、なんのためにそれをやるのですか?」と問うこと
- Agility:プロジェクトの不確実性に向き合うーー主体的に変化し続けるための準備
- Learning:成長し続けるためにチームとして学習しようというマインドを揃える
当然、上記以外にも重要な視点はあるかと思いますので、みなさまの組織・プロジェクトに合うものをご検討いただくためのたたき台としてお使いください。
プロジェクト推進のTipsやコパイロツトの情報をお届けする『COPILOT Newsletter』は、不定期配信です。
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株式会社コパイロツト共同創業者/エグゼクティブプロジェクトマネージャー
プロジェクトオーナーサイドに立ち、外部パートナーとしてプロジェクトマネジメントのサポートを行う。Project Based Working 社会に向けて、プロジェクトマネジメントを常にアップデートしつづける構造を構築中。MITテクノロジーレビュー日本語版のエグゼクティブプロデューサーを務めるなど、様々な共同プロジェクトへパートナーとしても参画。
編集者、プロジェクトマネージャー。情報発信と環境作りを担当。コパイロツトのサービス内容に加え、プロジェクトマネジメントに関する知見や魅力、コパイロツトの文化などを日々の発信で伝えられたらと思っています。