日々、多くのプロジェクトを抱えて奔走しているなかで、新しいミッションや課題への対応が次々に求められる。まだゴールや要件が整理されていないため、専任のメンバーをアサインできず、自分自身も他業務と兼任しながら取り組むしかない——多くのプロジェクトリーダーのみなさんは、そうした状況に直面したご経験があるのではないでしょうか。
例えば新規事業の創出やDXなど、組織にとっての重要度が高く関係者が多岐にわたるうえ、多方面に及ぶ専門的な知見が必要とされるミッションは、そもそも「着手するまで」のハードルが非常に高いものです。
コパイロツトでは近年、そんな、いわば “これからプロジェクト化していく前の段階”から、クライアント、プロジェクトリーダーの支援をすることが増えてきました。
そうしたケースにおいて、私たちがどのような考え方のもと、どのようなプロセスで支援をしているのか。そしてどんなところに価値を感じていただいているのか。今回は具体例をもとに、詳しくご紹介します。
- 「プロジェクト化する前段階」の状態とは
- 曖昧な状態から「プロジェクト化」する2つのステップ
- 企業内の文脈を尊重し、着実にプロジェクト化を進めていく
- 「課題はある。でも、着手すべきことが多すぎる...」そんな「プロジェクト化する前段階」で立ち止まっている方へ
「プロジェクト化する前段階」の状態とは
改めてになりますが、「プロジェクト化する前段階」では、主にリーダーの方が以下のような課題を抱えていらっしゃることが多いと思います。(あくまでも一例です)
- 「新規事業を立ち上げる」「社内のDXを進める」など、大枠のミッション、課題のみが存在する
- 「これを検討しておいて」という、ざっくりとしたパスだけが突然渡される
- これから個々のプロジェクトのゴール(着地点)を設定し、社内の合意を得ながら具体的なチーム作り、予算の確保、スケジューリングなどをしていく必要がある
- 関係する部署、関係者の人数が非常に多く、横断的なマネジメントが必要である
- 詳細が決まる前段階のため、専任のチームやメンバーが不在である(通常業務と並行して進めなければならない)
このように課題の粒度が大きく曖昧な状態から一歩前進するために必要なのは、ひとつひとつの状況を整理して「プロジェクトに着手できる状態」を作ることです。
私たちは、クライアントがまずこの“第一歩”を踏み出せるようにするための支援を行なっています。
今までご一緒したクライアントが、コパイロツトに声をかけてくれた理由は主に2つに集約されます。
1つは、多忙なリーダーをプロジェクト推進の専門家としてサポートすることでリソース不足を解消し、着実にプロジェクト化を進めるため。もう1つは、第三者の立場から客観的に状況を把握し、関係者間の横断的なコミュニケーションを円滑に行なっていくためです。
実際、現場でさまざまなクライアントの支援を行なっているメンバー2名にも話を聞きました。
「複数の部署が関係する、またパートナー企業が複数いる場合など、関係者が多い状態で、社内のメンバーが全体を俯瞰してプロジェクト化を進めることは至難の技です。どうしてももともとの関係性に引っ張られてしまうため、第三者がフラットな視点で期待値や認識をすり合わせ、コミュニケーションをリードしていくことが有効だと思います」(多田 知弥さん:プロデューサー/プロジェクトマネージャー)
「困ったときにご相談いただくケースだけではなく、長期間にわたってさまざまなプロジェクトをご一緒しているお客さまとは、常に『プロジェクト化する前段階』の状態であるという意識で議論を行うこともあります。
そのとき議題に挙がったテーマを中心に置いて、立方体をあらゆる角度から眺めるように問いを立て、曖昧な輪郭をはっきりさせていく。そうしたプロセスを繰り返すなかで、私たちから提案させてもらい、次のプロジェクトを立ち上げていくようなイメージです」(米山 知宏さん:プロジェクトファシリテーター/プロジェクトイネーブラー/在野研究者)
曖昧な状態から「プロジェクト化」する2つのステップ
「プロジェクト化する前段階」における支援の主なプロセスは、大きく次の2段階のステップに分けられます。
STEP1:プロジェクトで目指すべきゴールを、クライアントと共に探る
例えば大枠のミッションが新規事業の創出である場合、プロジェクト化する際にはもう少し具体化したゴールが必要となります。
求められている事業はどんなものか、どの顧客層のニーズを満たせばいいのか、目指す売上規模はどの程度かなど、明確なゴールを設定するため、さまざまな問いをもとに検討を重ねていきます。
ゴールを明確にしていくためには、会社としての経営戦略や中期経営計画から、担当者個人の思いなどまでを踏まえた事業軸、そして現在の社会の中で顧客がどのようなニーズを持っているかの顧客軸、双方の軸から要件を一つひとつ精査していく必要があります。
STEP2:プロジェクトを進める際の制約(リソース/期日など)を確認する
プロジェクトのゴールを明らかにした後、現実的に割けるリソース(ヒト・モノ・カネ)の配分を決め、実行可能なスケジュールへと落とし込んでいきます。
- 関係者(経営層および関連部署を含む)に対するヒアリング
- 外部のエキスパートに対するヒアリング、リサーチ
- ヒアリング・リサーチにより収集した情報の整理
- ミーティングの運営、ファシリテーョン
- 議論および意志決定のサポート
- 全体スケジュールの進捗管理 他
企業内の文脈を尊重し、着実にプロジェクト化を進めていく
「ゴールを設定する」「リソース配分とスケジュールを決める」という言葉の表面だけを捉えてしまうと、ごく当たり前のことのように感じられるかもしれません。しかしそもそも会社にとってのミッションの重さ、課題の難易度の高さや複雑さ、関係者の多さなどの要因が重なると、自社内だけでプロジェクト化し、直面するハードルを一つひとつクリアしながら推進していくことが困難になります。
日々さまざまなクライアントと接しているコパイロツトのメンバーは、次のようなことを大切にしてプロジェクト化及びプロジェクト推進を実践しています。
「私たちのような外部パートナーが参画する以前に、企業のみなさんはそれぞれの立場で課題について真剣に考え、さんざん悩み、トライ&エラーを重ねていらっしゃることがほとんどです。その事実と向き合わずに、いきなり土足で踏み込んで正論や一般論をぶつけるのでは意味がないんですよね。
今まで挑戦してきたにも関わらず実現が難しかったこと、失敗してしまったこと、セオリーはわかっているのにリソース不足でチャレンジできなかったことなど、そうした企業の中の文脈をしっかり理解したうえでご一緒する姿勢を常に大切にしたいと思っています」(多田さん)
「プロジェクト化する際は、そのとき限られたリソースの中でも、関わる人たちが確実に行動できることを想定し、タスクやスケジュールなどを分解していく必要があります。
例えば極端な例ですが、ゴール設定のための議論を重ねた結果『組織を根本から変えなければならない』という結論に至ったとしても、課題が大きすぎてすぐ着手するのは無理ですよね。
ですからそうした大きな課題を見据えつつも、まずは関わる人たちが着実にアクションできることをゴールとして設定し、そのプロジェクトを一つひとつ推進していく。そうすると、一つのプロジェクトが完了してあるゴールが達成されたとき、次の課題に着手できる状態になる——私たちは、そうした『プロジェクトが継続的に生まれる土壌』を育てているともいえます」(米山さん)
「課題はある。でも、着手すべきことが多すぎる...」そんな「プロジェクト化する前段階」で立ち止まっている方へ
コパイロツトでは今回ご紹介したように、明確なゴールがまだ決まっていない、これから要件の整理が必要……などの「プロジェクト化する前段階」からの支援も実施しています。お気軽にご相談ください。