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新規事業のプロジェクトリーダーが抱える「課題」と「悩み」とは [プロジェクトリーダー交流会レポート]

コパイロツトでは現在、クローズドでプロジェクトリーダーのコミュニティを作り、交流会を開催しています。そこで、参加者の方々から実際のプロジェクトにおける課題や悩みを共有いただき、情報交換やディスカッションを行っています。

このコミュニティの構想は、大手通信会社でプロジェクトリーダーを務める難波幸博さんとの対話の中で生まれました。難波さんが前職でリーダーを務めていたプロジェクトを、コパイロツトがご支援したことがきっかけで、プロジェクトリーダーが抱える課題について情報交換する機会に恵まれ、現在は共に本交流会を企画・運営しています。

今回は交流会の様子と、そこで共有された課題や悩みについて、ご自身もプロジェクトリーダーである難波さんにレポートしてもらいました。経験者として、どのような発見や気づきがあったのでしょうか。

プロジェクトリーダー交流会とは?

私はこれまで、2つのまったく異なる業種でプロジェクトを推進してきました。その経験から、プロジェクトリーダーには共通の悩み・課題があり、企業の枠を超えてリーダー同士がつながり、悩みを共有し合うことで、課題解決に少しでも貢献できるのではないかと考え、このプロジェクトリーダー交流会を企画しました。

私自身、最初に「プロジェクト」を推進することになったときは、はじめてのことばかりで、何をどのように進めたらいいかわからず、相談できる人もいない状況の中手探りで進めていました。今でも「世の中にはもっと良いやり方がきっとあるはず」と思いながらも、手探りの状態が続いています。

数多くのプロジェクトを支援してきているコパイロツトも、そもそも新たな価値を生み出すための不確実性の高い活動を「プロジェクト」として捉えています。そして決まりきった業務を行うだけではなく、プロジェクトの目的を達成するためにプロジェクトリーダーに寄り添い、一緒に悩み、共に課題を解決しています。

この交流会は、そんな私の個人的な考えと、コパイロツトが積み上げてきたプロジェクトリーダーに対する思いから開催に至りました。

はじめての開催となる今回の交流会では、業界や関わっているプロジェクトの内容が異なる3名のプロジェクトリーダーをお招きしました。ほとんどが初対面でしたが、それぞれが抱える課題感などを共有いただきながら活発な議論をすることができました。

課題①プロジェクトリーダーは、人と予算の確保に奔走する

今回の交流会での会話を通して実感したことの一つとして、リーダーがマネジメント面で孤独に悩んでいることがあげられます。

特に、人と予算の確保が共通課題として浮かび上がってきました。 また、プロジェクトチームを構成するメンバーの経験不足も大きな課題です。

新しい事業を立ち上げたり、システム開発の実務に携わったりしてきた経験がある人材は多くありません。昨今流行りの「DXプロジェクト」でも同様のことが言えます。新しい技術やデータの活用に対して若い社員を抜擢する例も多くあると思いますが、それもまた経験や知識が十分ではない人材構成になる要因になりえます。

会社としては、既存事業の既存業務で確実に利益を確保することが求められている中、あえて人材や予算を、リスクのあるプロジェクトに新たに割り当てる判断がそもそも難しいという大きなハードルが存在します。、そのうえ、プロジェクトは計画、開発、運用などフェーズが移行するたびに必要なリソースが増え、求められるスキルや経験も変わっていくなどのさまざまな困難が待ち受けています。

さらに、こうした難しさを会社に理解してもらうことは高いハードルになります。

会社としても、プロジェクトの中身が見えづらかったり、新規性が高い企画を理解しづらかったりするため、意思決定には大きなリスクを伴います。そのためプロジェクトに合う人材がいたとしても、思い切ったアサインをする判断が難しい実情がありそうです。

課題②プロジェクトリーダーは、プロジェクトと会社の間に立つ

交流会中に特に議論が盛り上がったのは、会社とのコミュニケーションの部分です。

新規事業や新規サービスを担うプロジェクトでは、すでに組織されたチームがあるわけではないため、社内から人を集めてこなければなりません。しかし、収益を生み出している既存事業の人材を引き剥がすことは難しく、さらに、プロジェクトに不可欠なシステム開発やデータ分析などの業務経験がある人材はそもそもほとんどいないものです。そのためプロジェクトの人材確保については、交流会参加者のみなさんが同じように悩まれているようでした。

人材の問題だけでなく、新規事業や企画を立ち上げることに対して社内で適切に評価されなかったり、既存の業務を変更させるという意味でむしろネガティブに捉えられたりするなど、社内理解にも高いハードルがあるといえそうです。

難しい立場に立たされるプロジェクトの推進メンバーは、最悪の場合、会社をやめてしまうこともあるため、ただでさえギリギリのリソースで進めているプロジェクトがさらに逼迫してしまう現実もあります。

プロジェクトの目的を達成するためのマネジメントを担うプロジェクトリーダーは、会社組織の実情も理解し、その板挟みにあいながら会社とコミュニケーションを重ねる。そのことに、共通の苦労があるように感じました。

今回の交流会の議論の中で、参加者のみなさんが経験している業界、企業文化、プロジェクトの内容が異なるため、細かい具体的な課題はそれぞれ違います。しかし根っこにある課題はまさに、「プロジェクト」が持つ共通の性質に起因するものでしょう。

プロジェクトチームと会社との間に立つ役割を担うと同時に、プロジェクトの推進そのものにも責任を持たなければならない――そうした立場におかれる心情は共通のものであり、議論は非常に盛り上がりました。

結局、プロジェクトリーダーの「本当のところ」は、世の中には出回らない

プロジェクトの進め方、プロジェクトリーダー業務のノウハウなどは、かなり表面的な情報しか世の中には出てきません。 どうしてもオープンにできない社内事情が多く含まれてしまいますし、個別の課題が多いため、なかなか一般化しづらいことが要因としてあるように思います。

今回の交流会では、改めて臨場感のある各現場の苦悩や課題のお話を聞くことができ、とても有意義な時間でした。今後も継続して開催し、同じ課題や悩みに直面している人たちのために、プロジェクトリーダーの「本当のところ」にまつわる情報発信をしていきたいと思います。



コパイロツトでは、プロジェクトリーダー支援を中心に、方針策定、課題の発見・整理、チームビルディング、マイルストーン設計、タスクの進捗管理などプロジェクト推進全体を直接支援します。

www.copilot.jp



執筆者 難波 幸博(なんば・ゆきひろ)
大手通信会社の研究開発部門に所属し、新規技術開発のプロジェクトを推進する。
前職の不動産ディベロッパーでの新規プロジェクトでコパイロツトから支援を受けたことをきっかけに、現在は副業メンバーとしてプロジェクトリーダーコミュニティの運営に従事。

コパイロツトは、課題整理や戦略立案から参画し、プロジェクトの推進支援をいたします。お気軽にお問い合わせください!

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