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あたりまえを疑う、批判的学習モデルでのふりかえり

前々回に紹介した経験学習モデルは、日々の業務の改善や学びの強化を促進します。
今回は、「批判的学習モデル」の俯瞰した視点からふりかえることについて考えてみたいと思います。

批判的学習モデルとは何か。

批判的学習モデルとは、”ふだん、無意識にとっている自分の行動や考え方を、自覚し、批判的にふりかえり、学びを得る”学習モデルです。

学習には、2つのステップがあります。
① 行動や考え方について、自身が「あるべき姿」を考えて、決める。
②「あるべき姿」を実現するために、必要な知識やスキルを習得する。

いわゆる従来の学校教育やセミナーのような「学習転移モデル」と、「経験学習モデル」は、①がすでに決まっていて、②をどう行うかに焦点が当てられていました。
一方、批判的学習モデルは、そもそもの①を考え直そうとするものです。

①の、自身が「あるべき姿」を考えるために、3つの段階が設けられています。
手段、目的、背景の3階層があり、そのうちのどの階層を批判的に見つめるかという切り分けをします。

手段探求モード

学習する「手段」を批判的に考えるモードです。
このとき、学習する「背景」や「目的」は受け入れるものとしていて、そのうえで「手段」を見つめ直します。

目的合意モード

学習する「目的」を批判的に考えるモードです。
このとき、学習する「背景」は受け入れるものとしていて、そのうえで「目的」を見つめ直します。

背景批判モード

このときは、学習する「背景」を根本から見つめ直します。

批判的学習モデルの効果

批判的学習モデルは、「自分の置かれた状況を無批判に当たり前」なものとして受け入れることを見つめ直すことを促します。
そうすることで、現状に対する問題意識を醸成することにつながります。
手段、目的、背景を、自分自身が考えて選び抜くと、行動や考え方が変化しやすくなります。

あたりまえを疑う難しさと、解決の糸口

しかし、そもそもふだん無意識にやっていることに目を向けることは非常に困難です。
定常的なふりかえりで背景について問いただすような目線を持つことは難しさを伴います。

この課題を解決するためには、外部からのファシリテーションやディスカッショングループが必要とされています。
『企業内人材育成入門』には具体的な手法については言及がありませんが、コパイロツトでの例を挙げてみます。

1対1のふりかえり

特に若手や在籍期間が短いメンバーと、週1回、1対1のふりかえりを実施しています。
テーマはなんでもありにしていますが、1対1で向き合うことでちょっとした悩みやわからないことをきっかけにその目的や背景などに目を向けていくことができます。
これは外部からのファシリテーション型ですが、聞き手はコーチングに近い手法をとっています。
ティーチングをなるべく避け、コーチングのアプローチをするだけでも、批判的学習モデルの視点を持つことを促すことができます。

チーム全体の月1回のふりかえり

コパイロツトのAdminチームは、月1回、チーム全体のありかたをテーマにしたふりかえりを、自主的に実施しています。
ふりかえりのテーマを批判的学習にフォーカスすることで、ふりかえる視点を切り替えています。
また、月に1回実施することで、ふだんから次のふりかえりで議論したり考えたりすることに目が向く効果もあります。
ディスカッショングループの作り方のひとつと言えます。

このように、フレームや対話で批判的学習モデルに切り替えていくことができます。
たとえば、ふりかえりに参加するとき、あるいは自分自身をふりかえるとき、このような学習モデルの違いを意識すると視点を切り替えやすくなると思います。

ふりかえりと一言で言っても、何を得るためなのかによって多義的で方法論もまだまだ考える必要があります。
現在進行形の取り組みについてはまたの機会にまとめてみたいと思います。
それでは、また来週、よろしくおねがいします。

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