コパイロツトは2022年4月から7月までの約4ヶ月間、北海道にある札幌新陽高校の学校祭企画プロジェクトに伴走しました。今回、学校祭を企画・実行する生徒会執行部のみなさんと一緒にプロジェクトを進めていく中で、ビジネス以外の場面でのプロジェクトマネジメントの有用性を実感することができました。このエントリーでは、実際のプロジェクトの様子と、札幌新陽高校の先生や生徒のみなさんからの声をご紹介します!
学校法人札幌慈恵学園 札幌新陽高等学校(1958年設立/職員数:75名) 北海道札幌市にある私立の全日制普通科高校。札幌慈恵女子高等学校として創設され、87年に共学化。2016年以降、民間出身の校長を迎えてさまざまな教育改革に着手し、「本気で挑戦する人の母校」というスローガンのもとにICTを積極的に活用した教育を展開したり、いち早く探究学習を取り入れたりと、常に挑戦を続けてきました。現在は2030年に向けて新陽ビジョン2030「人物多様性」を掲げ、多様性を尊重する教育と新しい学校モデルの確立を目指し学校変革プロジェクトを推進しています。 sapporoshinyo-h.ed.jp
- 学校祭プロジェクトで、生徒会執行部に対する支援を開始
- 学校祭プロジェクトの進め方
- 学校祭プロジェクトを通して生徒達が学んだこと・発見したこと
- 学校祭プロジェクトを終えた後の生徒達の変化
- 実際の学校祭の様子をご紹介
- プロジェクトマネジメントは日常生活においても活用できる
学校祭プロジェクトで、生徒会執行部に対する支援を開始
今回、学校祭を開催するにあたり、新陽高校より「生徒会執行部の生徒たちにプロジェクトマネジメントを教えてほしい」とご相談をいただいたことから、コパイロツトの支援がはじまりました。
新陽高校では普段から、生徒自ら問題を見つけ、さらにその問題を自ら解決する能力を身に付ける学習方法である「Project Based Learning」のアプローチを取り入れており、今回の取り組みはその一環で行われたものです。
現在在籍している高校1年生から3年生はコロナ禍の影響で、過去2年間は学校祭が中止に。今回、高校生活の中で初めてのオフラインでの学校祭開催への挑戦となりました。
学校祭プロジェクトの進め方
プロジェクトの期間は4か月。毎週30分から1時間の定例ミーティングをオンラインで実施しながら、議論を重ね、徐々に詳細を明確にしていきました。
- 定例ミーティングの基本的なアジェンダ構成
- 今回のミーティングでの役割、アジェンダを確認
- 前回発生したタスクの進捗を確認
- このミーティング内で議論したいこと※各メンバーが追記※
- 今回発生したタスクを確認
- その他ツール
- 定例ミーティングの進行にはSuperGoodMeetings*1を利用
- その他はGoogleAppsを活用
- 資料(ドキュメント、スプレッドシート、スライド)
- ホワイトボード(ジャムボード)
- 連絡(スペース)
プロジェクトの前半では、コパイロツトから生徒会執行部のみなさんに基礎的なプロジェクト推進の方法や考え方を提供し、学校祭プロジェクトの要となる要素を決めていくプロセスを実際に体験してもらいながら、プロジェクトを進めていきました。
提供したプロジェクト推進の方法・考え方
学校祭プロジェクトの要素を決めていくプロセス
プロジェクトの後半からは、生徒会執行部のみなさんが定例ミーティングのファシリテーションを行い、プロジェクトを主体的に進めていくようになりました。気になる点や気を付けたほうが良い点はコパイロツトからアドバイスをしましたが、大部分は執行部のみなさん全員で学校祭の準備を進めました。
- 学校祭の準備で行ったこと
- ガントチャートを使ったタスクの進行・スケジュール管理
- 定例ミーティングの進行(役割を持ち回りで体験)
- ファシリテーター:タスクの進捗確認、議論の促進などアジェンダにそって進行
- レコーダー:議論内で発生したタスクをメモ
- タイムキーパー:想定時間内に終えられるよう時間管理
- 定例ミーティングにて、気になっていること、もやもやしていること(テンション)を書き出し小さな不安要素をつぶしていく
学校祭プロジェクトを通して生徒達が学んだこと・発見したこと
学校祭が終わった後、プロジェクトメンバー全員で振り返りを実施。みなさんからのコメントを抜粋しつつ、どんなことが新たな学びになったのか共有したいと思います。
アジェンダを意識しながらミーティングを進めることでプロジェクトを進めることができた
ミーティングを今までやったことがなく、最初は何をしていいかわからない状態が続いていました。ですが、徐々にコツを掴んでいき、SuperGoodMeetingsでアジェンダを意識しながらミーティングを進めることができるようになりました。この経験は次にも活かせそうです。(田浦さん)
アジェンダを検討し作成するというプロセスの中で、自分達がやらなければいけないことを見つけながら、プロジェクトを進めることはとても良い学びとなりました。(石井さん)
目の前のことだけでなく、先のことを見据えた上での次のアクションを考える意識を持つことができた
何を目的、目標としてどのようにプロジェクトを進めるのか、また具体的なミーティングの進め方や次までにやるアクションを考える、といった面において力がついたなと感じました。(大竹さん)
ミーティングでガントチャートとは何か?であったり、スケジュールを細かく立てることの大切さや、準備がどれだけ大事かを学ぶことができました。次回のイベントの体育祭では、体育委員がメインになりますが体育祭においても自分達がやってきたことを活かしていきたいと思います。(片桐さん)※体育祭は9/13、14に行われました
以前はスケジュールを組んで実行するのが苦手でした。今回挑戦してみて、タスク一つひとつの大切さや、期日が決まるにも理由があることに気づきました。単に期日だから守るのではなく、どうしてそのタスクを期日までに実行する必要があるのかを把握することができたのはとても良い学びになりました。(増元さん)
プロジェクトメンバー全員で役割分担をしつつ、プロジェクトを取り組むことができた
昨年は人に頼れと怒られることが多かったのですが、今回はうまく人と連携することができました。(伊藤さん)
最初は執行部みんな何をすれば良いのかわからず、正直うまく進められるか心配でした。ですが、チームメンバー全員頼り頼られた状態で3ヶ月間しっかりと取り組み、最終的に皆で楽しかった!と言えて終わることができたのはよかったと思います。(増元さん)
学校祭プロジェクトを終えた後の生徒達の変化
今回の学校祭プロジェクトを終えて、生徒会執行部顧問の細川先生に生徒達の変化についてお伺いしました。進めていくなかで、生徒からくる質問の内容が次第に生徒自身の考えや仮説に基づいたものになり、コミュニケーションも積極的かつ提案型に変化していったことに非常に驚いたそうです。
プロジェクト取り組み開始前と後の生徒の皆さんの変化
以前は私の方からアクションを促したり、行き当たりばったりで物事を進めがちだったのですが、プロジェクトが進むうちに、具体的なアクションに落とし込み、自然とそれぞれ役割分担を行いタスクを実行できるようになっていきました。学校祭当日もさまざまな場面で常に次を意識して行動していたことにとても大きな変化を感じました。例えば、生徒からくる質問も「何をすればいいですか?」ではなく、「こんなことをしたいのでこうしようと思うのですが、どう思いますか?」と以前よりも生徒自身の考えや仮説に基づいた質問をしてくるようになりました。
最初の方はミーティング内で議論が発生しないことも多く、もっと発言を促したほうがよいのだろうかと悩んだときもありました。ですが、私の心配をよそに、生徒達は段々と定例ミーティングに慣れてきて、自分達でミーティングの進行やタスク管理など、真摯に向き合っていました。そのとき、私自身が生徒の限界を決めつけていたのかと反省しました。
最終的には「学校祭楽しかった」といろんな方々から言っていただいたり、執行部の生徒自身も楽しんでいてホッとしました。最後までコパイロツトさんと取り組むことができて本当によかったです。ありがとうございました!
学校祭を終えて、今後の目標とは
今度はコパイロツトさんの立ち位置を執行部の生徒達に担ってもらいたいなと思います。 直近でいうと、体育祭企画においても今回参加した生徒会執行部のメンバー(特に2年生メインで)でプロジェクトを進めるような取り組みで実践を早速始めています。執行部の3年生は2年生の動きをプロジェクトマネジメント視点でみながらサポートするといった形で取り組むことも検討しているところです。
今回は生徒会執行部のメンバーにプロジェクトマネジメントを体験してもらいましたが、さまざまな生徒が集まって取り組むワーキンググループ(特定の問題の調査や計画の推進のため設けられた部会)などにおいても、今回の経験で得たナレッジを活かしつつ各プロジェクトのサポートを積極的に行い、多くの新陽高校の生徒がプロジェクトマネジメントを経験してもらいたいなと思います。(細川先生)
実際の学校祭の様子をご紹介
コパイロツトメンバーは実際に学校祭へ参加することができませんでしたが、学校祭の実際の様子を写真で共有していただきました!今回のブログでも少しチラ見せ!
また札幌新陽高校の赤司校長先生のnoteでも今回のプロジェクトについてご紹介していらっしゃいますのでそちらもぜひチェックしてみてください!
今回のプロジェクトでは、生徒の皆さんに弊社ツールのSuperGoodMeetingsを活用していただきながらミーティングを実施していました。以前教職員の皆さんにも利用していただいており、そのときのインタビュー記事もありますので、もしご興味ある方はこちらもぜひご覧くださいませ!
プロジェクトマネジメントは日常生活においても活用できる
今回は学校祭を“プロジェクト”として捉え、企画、実行する上で生徒の皆さんにプロジェクトマネジメントを体験していただきました。 プロジェクトとは「独自のプロダクト、サービス、所産を創造するために実施する有期性のある業務」であると定義されています(PMBOK参照)。仕事に限らず、学校という場においても視点を変えればプロジェクトとして捉え物事を進めることができるのではないでしょうか。
コパイロツトでは、ビジネス関連だけではなく、行政やNPO、教育機関などさまざまな場面で発生するプロジェクトの推進サポート支援をおこなっております。また、SuperGoodMeetingsはどなたでもお使いいただけるツールになっておりますので、ご興味ある方はぜひ一度お試しください!
*1:SuperGoodMeetings:会議運営のサポート、会議の活用を通して、プロジェクトの推進をサポートするツールです。プロジェクトのマイルストーンとミーティングのアジェンダを可視化し、いまのタイミングで何を検討、決定すべきかを整理できます。
*2:WorkBreakdownStructure:プロジェクト目標を達成し、必要な成果物を作成するために、プロジェクト・チームが実行する全作業範囲を階層的に分解したもの(PMBOK参照)。
*3:ガントチャート:スケジュール情報を横線で示したもの。縦軸にアクティビティをリストアップし、横軸に日付を示す。横棒は開始日と終了日、所要時間を表示する(PMBOK参照)。
*4:ドット投票:情報量が一定な参加者間で行われる、人ではなくアイデアや意見そのものを誰しもが平等に評価し合える合理的な意思決定方法。
*5:ボルダルール:投票時に1票につき1位3点、2位2点、3位1点、といったように順位ごとの点数をつけて行う意思決定方法。