プロジェクトマネジメント・ナレッジマネジメント・組織づくりについてコパイロツトが
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コパイロツトが探究を続ける、ナレッジマネジメントの現在地。プロジェクトマネジメントとの融合、そしてこれからのあり方

コパイロツトでは2014年ごろから、「ナレッジマネジメント」について実践と探究を続けています。今回は社内で中心となりさまざまな試行錯誤を重ねてきた2人のメンバーに、この8年の間に経た探究のプロセスと、その結果たどりついた現在地について話してもらいました。

コパイロツトにおける「ナレッジマネジメント」探究の出発点

—— まずは、そもそもの出発点に立ち戻っておきたいです。コパイロツトが意識的に、ナレッジマネジメントに取り組むようになった背景を教えてください。

定金 時期でいうと2014年頃からでしょうか。クライアントワークに取り組む中で、プロジェクト推進を直接的にサポートするだけではなく、プロジェクトを推進するために必要となるナレッジを言語化して共有し、組織内で活用してもらうことの重要性を感じるようになりました。

そのためには属人性が低く、汎用性の高いノウハウや手法をまとめていく必要があると思ったんです。そこでまず「SECIモデル」1に着目し、それを自分たちなりに解釈しながらプロジェクトに取り入れるようになったのがはじまりでした。

—— それを担っていたのが「KMOチーム」ですね。

定金 そうです。2018年に米山さんがコパイロツトに入社したのを機に、ナレッジマネジメントに関する探究が本格化しました。

米山 はじめは、ナレッジマネジメントに関する理論や概念をなかなか現場での実践にまで落とし込むことができず、社内のプロジェクトマネージャーと議論になったこともありましたね。

米山さんが入社した当時のエピソードは、こちらのメンバーインタビューでも語られています。 www.wantedly.com

ナレッジマネジメント=企業の生存戦略に必要な要素へ

—— 社内でも試行錯誤を繰り返している中、一方のお客さま側の認識、捉え方はどのようなものでしたか? 現在と比較し、何か変化を感じていることがあれば教えてください。

定金 当時は「目の前のプロジェクトをどう成功に導くか」というご相談をうけることが多く、ナレッジマネジメント支援を求められる機会はそこまで多くありませんでした。

ただ、とある新規事業のプロジェクトが終わりに近づいたとき、そのプロジェクト推進で使っていたノウハウやナレッジをクライアント社内に残してほしいと依頼されたことがありました。主に会議のやり方だったり、定例会議を活用して毎週スプリントを回しながらプロジェクトを進めていく方法論だったり……その時は対面で実践してもらいながら覚えてもらう方法をとりました。それがわたしにとって今のナレッジマネジメント支援の原型になっていると思います。

米山 私も当時から、ナレッジマネジメントの重要性をお客様とのやり取りの中でも感じていました。

最終的に、お客様側の組織がナレッジマネジメントをオフィシャルな取り組みとして行うかどうかは別としても、現代のビジネスにおいて「知/ナレッジ」が重要であるということを感じていたのだと思います。

今はProject Sprintに基づいたプロジェクト推進の方法をお伝えしながら、最終的にはプロジェクトやクライアントの組織文化に合わせた「虎の巻」のようなものを作成し、お渡しすることも増えてきました。

プロジェクト推進のナレッジを体系化する過程で生まれた新たな視点

—— ナレッジマネジメントに関する議論を多角的に重ねる中で、どんな変化がありましたか? 

米山 コパイロツト社内において、プロジェクトマネジメントとナレッジマネジメントの融合が進んだのは2019年頃のことでした。プロジェクトにおける実践が、比較的うまくいったケースがいくつか生まれたんです。

プロジェクトマネージャーとは別に、プロジェクトのふりかえりや仕組みの構築を担当するナレッジマネージャーが参画し、2人で連携してお客さまのプロジェクト推進に伴走しました。

その後、プロジェクトマネージャーだけでクライアントのサポートを行うのではなく、ナレッジマネージャーの役割を持つメンバーが最初から参入する、もしくはプロジェクトのふりかえりとナレッジ化の部分をナレッジマネージャーが担当するなど、社内での役割分担と連携をするようになりました。

現在のコパイロツトでは、「ナレッジマネジメント」を単体でとらえて考えることはほとんどなくなっています。「ナレッジマネジメント」は「プロジェクトマネジメント」と融合したものとして包括的にとらえて探究を重ね、プロジェクトの中で実践している状態ですね。

定金 わたしたちは、プロジェクト推進の手法には明確な正解がなく、各企業の状態やさまざまな特性を踏まえたうえで、最適なものを見つけていくプロセスが重要だと考えています。

そのためコパイロツトがお客さまに対し一方的にノウハウを提供するのではなく、一緒にプロジェクトを進めていく中で、環境や状態、特性などをふまえたプロジェクトマネジメントの最適な方法を個別に整理し、確立していくアプローチを大切にしながら実践を繰り返しています。そこで、ナレッジマネジメントが必然の要素になるわけです。 

そう考えるうちに、だんだんと「ナレッジマネジメント」「プロジェクトマネジメント」という分類の仕方がしっくりこなくなってしまいました。

わたしたちが現時点でたどりつき、業務において使用しているのは、「Project Success(プロジェクトサクセス)」と「Project Enablement(プロジェクトイネーブルメント)」という2つの分類です。

「Project Success」「Project Enablement」とは

—— 多くの人にとってはあまり耳慣れない言葉だと思いますが、2人は「Project Success」「Project Enablement」という表現をどのような意味で使っていますか?

米山 簡単にいうと、「Project Success」は文字通りプロジェクトを成功に導くこと。「Project Enablement」は、プロジェクトの進め方そのものを最適化していく取り組みであると捉えています。

「Enablement」という言葉を使用している例としては、「Sales Enablement」「Technology Enablement」などがあげられます。例えば「Sales Enablement」は、組織内の誰もが営業活動できる状態にする、という意味で使われます。

すなわち「Project Enablement」とは、組織内の人たちがプロジェクトの概念を理解し、推進する手法やノウハウを得てハンドリングしやすくなった状態をイメージしていただければよいかと思います。

現在の課題とこれからの展望

—— 最後に、2人が現在取り組んでいる課題や、よくディスカッションしているトピックについて教えてください。

米山 「Project Success」「Project Enablement」という表現を用いることで、確かに捉え方はアップデートされ、よりわかりやすくなりました。ただ、双方を連携して実践した場合の最適解はまだ明確になっていないのが現状だと考えています。引き続きプロジェクトで実践を重ねながら、さらに解像度を上げていきたいですね。

定金 私たちが実績を一つひとつ重ねていくことで、「Project Enablement」の価値を証明できないかと考え、今、社内でさまざまな試行錯誤をしています。

「Project Success」と「Project Enablement」を組み合わせた実践によって成果を生み出し、それを汎用的なメソッドやサービスに落とし込むことで、プロジェクト推進に携わるより多くの人に活用いただけるようにしていきたいと思っています。


  1. 野中郁次郎氏と竹中弘高氏が提示した、広義のナレッジマネジメントに関するフレームワーク。知識変換モードを「共同化」「表出化」「連結化」「内面化」の4つのフェーズにわけて考える。

コパイロツトは、課題整理や戦略立案から参画し、プロジェクトの推進支援をいたします。お気軽にお問い合わせください!

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