新年とっくに明けてしまいましたが、あけましておめでとうございます。
プロジェクト推進だけにフォーカスする会社コパイロツトの共同創業者として2005年から所属している定金です。
- せっかくなので昨年を振り返ってみましたところ、気づいたことがありました
- なぜこのタイミングでそんなことをおもうようになったのでしょうか
- なにか解決する手段はあるのでしょうか?
- 簡単な解決策はなさそうだけど構造は見えてきた
- 今年はこの「つらさ」を解消できる方法を考えます
せっかくなので昨年を振り返ってみましたところ、気づいたことがありました
みなさま、最近プロジェクトがうまく進まないなとおもいませんか?
いままでのやり方だとあんまりうまくいかないかもと…と思うことが増えていませんか?
私たちコパイロツトは、プロジェクトリーダーを支援する形でプロジェクト推進の支援を行っております。 さらにプロジェクトオーナーサイドの経験も増えてきました。自分たちがオーナーサイドを共同で務めるプロジェクトを経験したり、完全に自分たちがオーナーである自社サービスを5年ぐらい前から開発を進めています。
それらの経験といまの時代感を含めて考えると、プロジェクトをうまく推進することは今までとは違う「つらさ」を伴うようになってきたな、と改めて感じるようになってきました。
「つらさ」を言い換えるとするならば「精神的に大変なことがおおくなってきたなあ」でしょうか。
なぜこのタイミングでそんなことをおもうようになったのでしょうか
私たちの方法論 Project Sprint とサービス SuperGoodMeetings では「みんなで進める」とか言ってるけど、もっと厳密に定義していきたいな、とおもってこの年末年始にいろいろと調べました。
その結果を共有します。まず最初に改めてプロジェクトの進め方の型を考えてみます。
グラデーションはあるものの大きく分けると二つになると今回は考えみます。
- 誰かが中心になって進める:誰か一人の仮説をもとに、仮説ホルダーが合意形成しながら進める方法
- みんなで進める:みんなの仮説をもとに、みんなで納得しながら進める方法
いままでのプロジェクト、組織構造においては1をベースに推進していましたが、昨今の社会構造(社会が大きく素早く変化しはじめた、コンピューターによる自動化が進んでいる、など)によりその進め方では解くことができない複雑な問題が増えたため、様々なスキルを持ったメンバーにより解決を目指す2の進め方も必要になってきています。
プロジェクトの状況に合わせて1と2を使い分けながら進めていくというのが現状ではないでしょうか。
1の進め方のつらさに加えて、2の進め方による新しいつらさが出現しているのが冒頭の問いに対する回答だとおもっています。
さらに、また1なのか2なのかを意思決定するつらさもそこに加わっています。
1の方向性において、リーダーに共通する要素を突き止められた研究者はいないという言及があるように、状況によって使い分けるしかないようです。いままでこんなに研究されているのにこれだ!という理想的な態度がないのはつらい。
2の方向性は、リーダーシップ論的として、トランスフォーメーショナルリーダーシップ、サーバントリーダーシップ、シェアドリーダーシップ、ハンブルリーダーシップ、など様々な形で言及されてはじめています。(入山章栄(2019)『世界標準の経営理論』ダイヤモンド社、服部泰宏(2020) 『組織行動論の考え方・使い方』有斐閣 など、全体感をまとめていただいている書籍を参照しています)
このスタイルでは、リーダー・メンバーは弱点をさらけだしたり、自己認識して自分らしくある必要があったり、ちょうどよい制限を設定する必要があったり、価値観や目的やビジョンをバチッとそろえたり、クルーシブな経験をもとに内発的動機づけが必要だったり、などなどいろいろ言及されていますが、リーダーも、さらにはプロジェクトメンバーにも、いろんな新しいつらさが登場している。しかも基本的には不安や緊張感がドライバーだといわたりしている。どれを調べても結構つらそう。
みんながリーダーである進め方になると、プロジェクトメンバー全員にリーダーと同様のつらさが必要になる。
さらに状況に応じて1と2を使い分ける判断もチームには求められる。
そりゃつらさは増えてきているのは当然なんだなと、いろいろ調べてみて改めて実感しました。
なにか解決する手段はあるのでしょうか?
さて、プロジェクトを推進することはいままでよりも確実につらくなっているし、今後もどんどん新しいつらさが増えてくる、そしてあんまり汎用的な答えはなさそう、ということが外出自粛によりできた時間での読書と、私たちの実践知のふりかえりによりわかってきました。
じゃあなにかそのつらさを解消する方法があるのだろうか、コパイロツトに相談すればなにか解決するのか?という話になってきます。
ですが、私たちも模索している途中段階にありますし、世界中の研究者の頭脳を結集しても統一見解がないように、状況に合わせてプロジェクトメンバー全員で納得をしながら決めていくしかありません。
いろいろな調査と、私たち自身がSuperGoodMeetingsというプロダクトやProject Sprintというメソッドでプロジェクトオーナーを担当しているのですが、自分たちだけではうまくいかない経験からわかったことがあります。
それは、複雑なプロジェクトの問題を解決し、さらに推進し続けるためには、メンタルモデルやバイアスを超えた本質的な判断のために、客観的な目線をもって一歩引いてプロジェクトの目的を俯瞰する必要があるということです。 そのためにはある程度の距離感があるメンバー、組織の外部の目線が必要なのではないか、という部分にはある程度同意いただけるとおもいます。
特に、プロジェクトを推進していく体制については、所属している組織のバイアスが強くなる傾向があるため、外部の目線があるほうが様々な解決策にたどり着く可能性があると考えます。
またプロジェクトの推進方法は常に動的に検討しつづける必要があるため、その推進する体制を維持するには外部のメンバーがいるほうが構成しやすいのでははないでしょうか。
多様な案件でプロジェクト推進を専門として経験している、さらに外部メンバーである私たちが、客観的な目線をもちこみつつ一緒になって脳がよじれるほど考えるお手伝いであれば可能だとおもっています。
簡単な解決策はなさそうだけど構造は見えてきた
ですが、改めて冷静にみてみると、つらくなることは普通になってきたんだな、とも考えられるようになりました。
それは、プロジェクトを進めることで、いままで解決されたことのない問題を解決するために、いままでよりもより良い社会を目指して進むために、いままでよりもつらいことが起きるのは当たり前だということです。
年を追うごとに人間が解決しなければならないプロジェクトは複雑になり続けるから、まあそれは当然かなと思えます。
今の時代に生きており、新しく意味のあることに取り組んでいるひとは、新しいつらさを乗り越えるしかないんだな、という諦め?がつきました。
映画業界の例ですが、どちらかというとリーダーが引っ張るスタイルの、ジブリの宮崎駿先輩も、めんどくさい…つらい…と言いながら筆を進めていましたし、どちらかというとみんなで進めるスタイルのピクサーのメンバーも、メンタル的にタフだといいながらチームメンバーは新しいシーンを提案しているそうです。
どちらのアプローチも必要だし、どちらもそれぞれ違ったつらさがある。理解して乗り越えるしかない、と思えるようになりました。
今年はこの「つらさ」を解消できる方法を考えます
これをお読みの、プロジェクトを進めるってなんでこんなにつらいんだろう、と思われている方は、ぜひその状況を私たちに共有いただけませんでしょうか?人と話すことで客観的になれますし、まずそこから双方にとって大きな気づきがあるとおもっています。
たいして明快な解決策もない状況ではありますが、プロジェクトを進めるみなさんのつらさの正体を分解してお伝えすることで、より新しい、より困難な、より大きな社会の問題解決に取り組むプロジェクトメンバーのみなさまの気分が、少しでも楽になるのではないかとおもいまして新年早々のブログにさせてもらいました。
このつらさを様々なプロジェクトチームと共有しながら一緒にプロジェクトを推進しつづけるメンバーとして、今年もより良い社会にむけてがんばろうとおもいます。
今年はこのつらさを解消するために少しでもなにか形式知化できたらよいなとおもっています。
ということで本年もよろしくお願いいたします!
株式会社コパイロツト共同創業者/エグゼクティブプロジェクトマネージャー
プロジェクトオーナーサイドに立ち、外部パートナーとしてプロジェクトマネジメントのサポートを行う。Project Based Working 社会に向けて、プロジェクトマネジメントを常にアップデートしつづける構造を構築中。MITテクノロジーレビュー日本語版のエグゼクティブプロデューサーを務めるなど、様々な共同プロジェクトへパートナーとしても参画。