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今回は、2022年2月25日に配信された『意思決定を「個人」ではなく「チームとタイミング」で整理する』を再編集し掲載します。
意思決定を「個人」ではなく「チームとタイミング」で整理する
年明けに発売された『DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー』2022年2月号「特集:アジャイル化するプロジェクトマネジメント」を読みました。
そこに掲載された論文「プロジェクトエコノミーの到来」(アントニオ・ニエト=ロドリゲス)では、現在の経済活動はプロジェクトベースで進められるケースが増えており、組織における既存機能の活用(オペレーション)と、新規能力の開発(プロジェクト)の双方に力を入れて進める必要がある、永続するのは「変化」だけであり、変化の予測、管理、遂行を実現するためにはプロジェクトを巧みに動かすことが最善策である、と論じられていました。これはここ数年の私たちの実感とも重なり、深く同意した次第です。
さて、そんな私はといえば、プロジェクトにおける「体制図」について考えていたところでした。
プロジェクトを立ち上げる際、目的やマイルストーン、使用するツールなど最低限の情報を整理しますよね。その中の一つの情報である「体制図」について、いわゆる階層構造を示す組織図・体制図は、オペレーションにおいては機能しますが、現在のプロジェクトにおいては十分に効果を発揮していないのではないか、と考えていたのです。
プロジェクトにおいて、意思決定は1人で行われるものではありません。
例えば、アプリケーション制作の機能要件を決める場面で、責任者として「決定権」は誰か一人に与えられ、あるいは定められていたとしても、詳細は様々な能力を持ったひとに相談しながら決めていくことが多いのではないでしょうか。
その現場の状態を図示するために、私たちはこれまで、会議体による意思決定の内容とタイミングを可視化する整理を数多く行ってきました。そして、その会議体の整理と、体制図が目的とすることは同じではないかと考え、会議体をもちいたプロジェクトの意思決定構造の整理を行うようになりました。
その図にはそれぞれの会議体の役割、成果物、基本のアジェンダ、参加者を記載し、会議の場そのものに決定権を持たせています。その場では何を意思決定するのか、またそのためには誰に参加してもらったらいいのか、またその意思決定をしたあとの情報は同プロジェクト内のどのチームに手渡されていくのか。それを明確にすることで意思決定のサイクルを淀みなくまわせるのではないでしょうか。
関係者が集まっている場で意思決定をしたほうが効率も良いですし、他チームの意志決定のタイミングがわかっているとそれぞれのチームが自律的に動きやすくなります。また単純に、体制図と会議体の表を突き合わせて理解するのはとても複雑で、手間がかかりますから、会議体という意思決定のサイクルを中心に整理してみることをおすすめします!
プロジェクトが大規模になればなるほど、この整理の方法は機能するのではないかと思っています。今後、近い将来においてはSuperGoodMeetingsにも、会議体と体制図を合わせた形で整理できる機能を追加したいと思い描いているところです。
――Motoi Sadakane
Appendix
プロジェクトは、連続する<仮決定>の中で、それ自体をより良いものにし続ける行為
プロジェクトにおける「ふりかえり」とは、絶対的なものが存在しえない中で、少しずつより良い状態に近づけていくためのもの。単に「過去を検証するためのもの」というものではなく、現在のプロジェクトの特性から「そうせざるを得ない」というものであり、ある意味では、改善するためにこそプロジェクトは存在していると言えるかもしれません。
本記事では、そのような視点から、ふりかえりとはなにか、プロジェクトで行うふりかえりにはどのようなやり方があるのか、ということを整理しました。
プロジェクトを俯瞰的に捉えるのではなく、プロジェクトの現場にいるプロジェクトチームの目線からプロジェクトを捉えつづけるというアプローチへ
コパイロツト独自のプロジェクト推進メソッド「Project Sprint」は、定例ミーティングを最適化しプロジェクトをチームメンバー全員で推進していくことを目指すための方法論として、2020年7月にメジャーバージョンが公開され、以降もアップデートを繰り返してきました。
過去のアップデートでは、具体的なノウハウの追記やドキュメント体系の再構築を行ってきましたが、今回のアップデートはアプローチの変更とそれに伴う考え方の変化を反映した、メジャーバージョンアップ(v3.0.0)を行いました。本記事では、主要な更新個所の解説を行っています。
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株式会社コパイロツト共同創業者/エグゼクティブプロジェクトマネージャー
プロジェクトオーナーサイドに立ち、外部パートナーとしてプロジェクトマネジメントのサポートを行う。Project Based Working 社会に向けて、プロジェクトマネジメントを常にアップデートしつづける構造を構築中。MITテクノロジーレビュー日本語版のエグゼクティブプロデューサーを務めるなど、様々な共同プロジェクトへパートナーとしても参画。
編集者、プロジェクトマネージャー。情報発信と環境作りを担当。コパイロツトのサービス内容に加え、プロジェクトマネジメントに関する知見や魅力、コパイロツトの文化などを日々の発信で伝えられたらと思っています。