「全社を挙げて、提供するサービスの品質改善に取り組む必要がある」—— そんな課題と向き合おうとするとき、みなさんの会社ではどこから着手していきますか?
今回は、2023年から組織全体で根本的な品質改善に取り組んでいる、エヌアイシー・ネットシステム株式会社(以下、NS社)のプロジェクトをご紹介します。
同社はNTTグループ企業である日本情報通信株式会社(NI+C)の100%子会社であり、システムや各種ネットワークサービスの保守・運用業務を手がけています。
コパイロツトは本プロジェクトに外部パートナーとして参画し、短期的な品質改善施策だけではなく、自律して継続的に「改善し続ける」組織を目指した仕組み・環境作りを支援しました。
どのようにプロジェクトがスタートし、どのようなプロセスで進んでいったのか。そして現在どのような手応えを得られているか、プロジェクトを主導したNS社のコアメンバー3人にお話をうかがいました。
品質改善・組織浸透プロジェクト ~ 会議改善からの組織文化の変革~(2023.10 - 2024.03)
- 「IT運用のプロではない会社に、何ができる?」疑問・不安からのスタート
- 評論家ではなく同じ目線で伴走しながら、第三者として社内横断的な会議をまとめる役割
- メンバー全員が本音の意見を出し合える場が生まれ、社内の雰囲気が変わった
- プロジェクトを通じて可視化された、新たな課題に取り組む
「IT運用のプロではない会社に、何ができる?」疑問・不安からのスタート
—— 改めて、社内で品質改善への取り組みがはじまった背景を教えてください。
竹田:弊社はさまざまなビジネスを展開しているため、それぞれの事業ごとに業務プロセスや品質管理の仕組みが存在しています。ただこの状態が続くとどうしても、品質管理の手法にばらつきが出たり、レベル感に差が生じてしまったりするので、全社的な改善が必要だと感じるようになりました。
先崎:実際に一部でオペレーションミスが発生するなど、課題が表面化しつつありました。そこで各部門長やリーダーが集まって、サービス全体の品質改善および社内標準化に取り組むことになったんです。
—— 今回は、NS社の社長様と当社共同代表の、共通の知人の方を通じてご縁が生まれました。ぜひ率直な感想をいただきたいのですが、コパイロツトに対する第一印象はいかがでしたか?
北見:正直なところ、IT運用を特に専門にしている会社ではないとわかり、お願いして何ができるんだろう? と、疑問がありちょっと身構えていたところがありました。
先崎:「ちょっと変わった会社だな」というのが第一印象でした。みなさんのお話からプロジェクト推進に対する強い思いが伝わってきて、一般的なコンサルティングの会社とはスタンスが違うのだろうな、と。
確かに、IT運用ビジネスのご経験がない点など不安要素はありました。ただ私たちも、品質改善を目指すにあたってどこからどのように着手すべきか、まだ整理がついていない状況でした。そこでこの取り組みをプロジェクト化して、コパイロツトさんにそのレールを引く役割を担っていただくのはありかもしれない、と思うようになりました。
評論家ではなく同じ目線で伴走しながら、第三者として社内横断的な会議をまとめる役割
—— 2023年10月よりコパイロツトが会議のファシリテーター役を担当し、NS社のみなさまと議論を重ねていきました。実際に協業がはじまってから、当初の印象はどのように変わりましたか?
北見:コパイロツトさんは“評論家”としてではなく、私たちと同じ目線に立って実務を進めてくれました。IT運用が専門ではないのに、なぜ同じレベル感で話ができるんだろう?と最初は不思議だったのですが(笑) 現場で困っていることに寄り添って、プロジェクトを一緒に進めよう、という姿勢によるものなのかもしれませんね。
それに加えて、社内プロジェクトに第三者の視点が加わったことも大きかったです。複数の部署のメンバーが集まる社内横断的な会議では、状況を客観視できるまとめ役が必要です。それを社内の誰かが担うのはなかなかハードルが高かったのですが、コパイロツトのみなさんがその役割をカバーしてくれて、非常に効率的に会議が進むようになりました。
竹田:私はこのプロジェクトに取り組むにあたり、どうボトムアップで現場のメンバーを巻き込んでいくかが最も重要だと考えていました。じっくりお話をしていくうちに、協業することでそれが実現できるのではないかと思いはじめました。
米山(コパイロツト):初期の頃は特に、半ば強引に会議に参加させてもらいましたので、それを許可していただいたことに本当に感謝しています。時間をかけてお話する機会をいただけたので、御社に対する理解を深めることができたと思っています。
プロジェクト推進の具体的なプロセスについては、以下の記事にてご紹介しています。合わせてご覧ください。 https://www.copilot.jp/project/niandcnetsystem-mtgimprovement/
メンバー全員が本音の意見を出し合える場が生まれ、社内の雰囲気が変わった
—— プロジェクトを一緒に進めていく中で、みなさんに着目いただいたことの一つが「会議の進め方」の改善でした。どんな気づきや手応えがあったのでしょうか。
竹田:すごく細かいところなのですが、オンライン会議中に「Miro(オンラインホワイトボード)」を使って、2〜3分の時間制限の中で参加メンバー全員に一斉にコメントを書き込んでもらい、それを一つひとつ整理していく手法をとても効果的に実施されていると感じました。
米山(コパイロツト):NS社のみなさんは、いつもすごくたくさんのコメントを書いてくださいますよね。普段から、真摯に業務のことを考えているからこそだと思います。
北見:会議の場でいくら「誰か意見のある人は発言してください」と促しても、挙手して発言する人は少ないと思います。でもオンライン会議でこの方法をとるようになってから、それぞれのメンバーがどんなことを考えているのかが広く可視化されました。
今まであまり発言の機会がなかったメンバーも意見を伝える場ができて、結果的に会社の中の雰囲気も少しずつ良くなっているのではないかと思います。
—— 今回のプロジェクトを通して、会社にとってはどのような成果、メリットがありましたでしょうか。これからも続く長期的な取り組みですので、現時点でみなさんが感じていらっしゃることで構いません。
先崎:プロジェクトの進め方や会議のファシリテーションについて、新たな知見を学べたことは非常に大きかったです。いずれは自分たちで実施できるようにしたいとは思っていますが、協業することでその辺りをコパイロツトさんにフォローしてもらい、私たち社内のメンバーが、そもそもの論点であるサービスの品質についてなど、業務内容に関わる議論に集中することができた側面もありました。
竹田:会議の進め方はかなり変わったのではないでしょうか。会議内で議論を集約する意識をもつなど、一部のメンバーは得たノウハウを実務に活かしはじめていると思います。
北見:異なる部署のメンバーが集まった社内横断的なプロジェクトに、長期間かつ継続的に取り組めていること自体が、弊社にとっては成果の一つかもしれません。
品質改善を目指してはじまったプロジェクトですが、じっくり議論を重ねていく中で今までは表面化していなかった新たな課題も可視化されつつあります。ひいてはそれも、組織にとってのメリットなのではないかと思います。
越川(コパイロツト):みなさんのおかげで、私たちも楽しく前向きに取り組むことができています。ありがとうございます。
プロジェクトを通じて可視化された、新たな課題に取り組む
—— 北見さんがおっしゃったように、状況を可視化していく中で新たな課題が発見されることもあると思います。最後に、これから取り組みたい課題についてそれぞれおうかがいできますでしょうか?
北見:業務の品質改善がもともとのテーマでしたが、議論を重ね課題を掘り下げた結果、根本的な組織風土の問題につながりました。ただ風呂敷を広げすぎてしまうと時間ばかりかかってしまうので、今後は組織風土の変革を意識しながら、同時進行で引き続き品質改善に取り組んでいきたいと考えています。
竹田:現時点では、まだ現場のメンバーを巻き込みきれていない部分があります。これからプロジェクトを先に進めるにあたり、コパイロツトさんには一部のメンバーのヒアリングをお願いしているのですが、それ以外のメンバーの声も拾っていきたいですね。
先崎:さまざまな課題が見えてきているので、品質改善のプロジェクトについてはどこかで一区切りつけて、次はまた別のテーマについて改めてプロジェクト化してもいいかもしれないと思っています。そのときはまたぜひプロジェクトをご一緒して、共に新たなチャレンジをしていきたいですね。
エヌアイシー・ネットシステム株式会社
NTTグループ企業である日本情報通信株式会社(NI+C)の100%子会社であり、システムや各種ネットワークサービスの保守・運用業務を手がけています。
https://niandcnetsystem.co.jp/