前々回は川喜田二郎のW型問題解決モデルを紹介し、行為が須らく「判断」→「決断」→「実行」の順を踏んで行われることを紹介しました。
前回は中でも疎かにされがちである「判断」の部分を解決するべく生み出された、KJ法の哲学について触れました。
KJ法の全体像
「解釈せずに解釈するべき」という逆説的な命題に対して、川喜田二郎どのような方法論を提案しているのでしょうか? 早速、KJ法の中身について紹介していきたいと思います。まずはプロセスの全体像がこちら。
ええ!?知っているKJ法より全然内容が多い、、と思った方はその通りです。 実は世の中で広まっている「KJ法=グルーピングでしょ」のイメージに近い箇所は「狭義のKJ法」と呼ばれています。 上図では下半分に該当する部分です。これでも一般に流布しているプロセスよりも盛り沢山ですね。 一方で上半分に該当する部分は「取材学」と呼ばれており、これも含めて「広義のKJ法」と呼ばれています。
特にこのブログでは、グループで行う「広義のKJ法」について一通り説明していき、データをどのように集約して「発想」していくべきかを紹介していきます。詳細に入る前に、簡単にプロセスの概要を見ていきましょう。
①問題提起
ここではメンバー全員がKJ法のテーマを挙げます。KJ法にうってつけの課題とそうでない課題とがあるので注意が必要です。
②衆目評価法
挙がったテーマに対して投票を行います。川喜田二郎がKJ法を、民主主義と重ねて語る理由が垣間見えるプロセスです。
③探検マップ(点メモ花火)
グループKJ法では簡便なラベル収集の手法の1つとして「探検マップ」と、そのプロセスとしての「パルス討論」を例として紹介します。
④多段ピックアップ
KJ法はラベルの数に比例して時間が掛かるので、誰もが納得する方法で収集したラベルを厳選します。
⑤グループ編成
いよいよ「狭義のKJ法」に入ります。まずはラベルをグルーピングする作業ですがプロセスよりも「観念抜きに認識」する作法が非常に重要です。
⑥表札作り
グループ編成したものに「表札」という所謂ラベルをあてがいます。このプロセスこそが川喜田二郎の言う「発想」の場面でもあります。
⑦A型図解
図解することで見えて来る全体像があります。さらには完成した図解の使い道についても説明します。
⑧B型文章化
図解のみならず文章化する中で、言葉に詰まりながら、これまで言語化されなかった「関係性」が浮き彫りになることがあります。
⑨累積KJ法
以上の①~⑧という「広義のKJ法」を繰り返すことで、どのようにデータドリブンで問題解決できるのかを紹介します。
KJ法のメリットとは?
なお、KJ法のメリットについて纏めてみました。(個人的な意見ですのでご参考まで)
・思考プロセスを規定することで効率的に深い思考に至ることができる
・定性情報の処理を可能にし集合知・暗黙知の活用を促す
・何事も可視化し構造的に俯瞰できる
・思考の過程が記録されているので、そのまま他人に共有できる
なお実は、上記もKJ法を用いて纏めています。このように捉えどころのない事象もまとめ上げることができるのがKJ法の強みです。こういう方法論があるのは、非常に心強いですね。
では次回、①~④の「取材学」に当たる部分を、コパイロツトで実施した社内勉強会を例に、ご紹介していきたいと思います!
(執筆:八木翔太郎)