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Deliveryトラックがいっぱいいっぱいになって分裂したーProject Sprint Team 紹介2

こんにちは、ユニバ株式会社の菊地です。コパイロツト社とユニバの共同チーム(SuperGoodMeetingsはこのチームが開発しているプロダクトです)は、2017年秋に活動を開始してからほぼ3年目になりました。この記事で2020年3月時点の姿をご紹介しています。

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それから半年が経ち、だいぶチームも様変わりしました。チーム内の役割変更や名付けについてはだいたい「雇われ経営者」としての私が関わっているのですが、その変化のひとつをご紹介したいと思います。

Deriveryトラックがいっぱいいっぱいに

プロジェクトの中で特定の目的に取り組む小さなまとまりを、Project Sprintでは「トラック」と呼んでいます。陸上競技場では、選手の走るコースが分割されていてそれをトラックと呼ぶと思いますが、そのイメージから名付けられています。サブプロジェクト、チーム内チームのようなものと思っていただければ良いと思います。

Project Sprintチームのトラックのひとつに、Deliveryトラックがあります。Deliveryトラックの役割は、このチームの成果(ウェブサービスや文書化されたノウハウなど)を、実際にそれを使ってくれる人々のところへ届けることです。

Deliveryトラックは毎週木曜日の1時間の定例ミーティングを中心に活動していました。メンバーは5人です。しかし、2020年6月頃には、話したいことが多すぎて毎回のように時間が足りなくなり、しかも特定の話題が後回しになる状態になっていました。目の前のことに忙殺されて長期的な方針の話ができず、行き場のないタスクが増えたり、メンバー同士の期待がずれる場面が増えて行きます。しかも、活動が滞ることを何とかするために、別の連絡会議ができて分断状態にまでなってしまいました。

  • 定例ミーティングが慢性的に時間切れになる
  • タスクが消化されない/評価されない
  • 長期的な目標を修正したり話し合う時間が取れない
  • メンバーの役割について期待が揃わない
  • 定例の機能を補うミーティングが作られる

対症療法ではどうにもならず、原因から断たなくてはいけない状況でした。

仮説

その当時の状況を、私はこの図のように考えました。Deliveryの中に質の異なる役割(オレンジと黄色)が同居している、トラックの役割として定義されていない暗黙の役割(点線内の領域)が発生してしまっている。

これは、Deliveryトラックの担当する範囲を再定義することで解決するのが良いと思いました。そして、私からチームにそのことを説明し(この図は実際当時使ったものです)、Deliveryトラックを分割する以下の2点の変更を提案しました。

新設: Promotion (プロモーション)

「Project Sprintプロジェクトを広く知ってもらう」ことを役割とするPromotionトラックを新設することで、この範囲をDeliveryトラックの役割から除外します。ウェブサイトのデザインやプロジェクトを説明する資料など、多数の人に見てもらうためのメッセージの制作が主な対象です。

Deliveryでデザインやテキストライティングを担ってくれていたメンバーが、定例ミーティングの中で方針を確認したり、十分なフィードバックを得られないことが常態化していたので、専門のトラックの中でじっくり取り組めるようにという考えです。

役割の再設定: Delivery (デリバリー)

Promotionの役割が切り離された新しいDeliveryには、チームを代表して多くの人々と会い、プロジェクトの説明や契約をするなど、直接やりとりを行う役割が残ります。この変更によってPromotionトラックが出会いの機会をつくり、Deliveryトラックが価値を届ける、というトラック間の分担ができるのではないか、という期待です。

やってみた結果

私からのこの2点の提案はGeneralトラックで議論され、受け入れてもらえることになりました。

Promotionチームはその後、いろいろな制作物が乱立していた状況を整理し、ウェブサイト、動画、PDF資料等のリリースサイクルをまとめ、じっくり制作する環境を整えることができました。慢性的な時間不足のなかでは、なかなか何のために、何を作るべきか、という話ができませんでしたが、時間を得るとすぐにまとまりました。

宣伝の負担がなくなったDeliveryは、どんなサービスを提供するかについて整理を行いました。目の前にいる人にどんな価値を実感してもらえるか、というテーマを考えることで、「プロジェクトの成果を必要とする人々へ届ける」だけでなく、コパイロツト社が長年蓄えてきたプロジェクト推進のノウハウやSuperGoodMeetingsのようなツールを使ってもらうことで、「成功してもらう」そのために「成功を支援する」ことが、本来Deliveryトラックがすべきことではないか、という価値提供の視点を中心に、活動を再設計しています。

現在のProject Sprint Team (2020 Sep.)

現在のチーム全体の姿は、ホラクラシー風サークルで描くとこんな感じです。3月の時点では4トラックでしたが、6トラックに増えました。Deliveryのところがぽこっとふたつに別れています。

トラックが自ら目標を設定し、その目標に向けて自由に「走って」いる状況が望ましいと思っているので、DeliveryとPromotionの分割後の動きはとても理想的でした。元のトラックが窮屈すぎたんですね。Generalトラックが「小さな政府」としてトラック同士の境界のメンテナンスを提案したり、大きなシナリオを提供することで、今後別の問題が出てきても対処できると期待しています。

チームが行った変更のひとつとして、9月からLabトラック(マイルストーンマップ中の紫色)も増えていますが、そのお話はまた別の機会で。


菊地玄摩(きくち・はるま)
ユニバ株式会社 代表取締役

2003年、有限会社ユニバースソフトウェア(現ユニバ株式会社)の創業メンバーとなる。2006年、東京藝術大学大学院美術研究科先端芸術専攻修了。2009年よりユニバ株式会社代表取締役。ソフトウェア製品の開発プロジェクトや新規事業に参加し、アイディアの深堀(プローブ)と新しい体験の実装(プロトタイピング)を行なっている。コパイロツト社のプロジェクト・スプリント/スーパーグッドミーティングスプロジェクトには2016年から参加。

コパイロツトは、課題整理や戦略立案から参画し、プロジェクトの推進支援をいたします。お気軽にお問い合わせください!

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