コパイロツトは、クライアントやパートナー会社の『copilot / 副操縦士』となって、
目的地にたどり着くまでの過程をトータルでサポートします。

ジャイアント・キリングし続けるチームの作り方

最近とてもハマってしまった漫画があります。

それは、「ジャイアント・キリング」というサッカーを題材にしたものです。私がサッカー好きということもありますが、何より、チームの力をどう引き出していくかという点でとても参考になる作品だと感じています。有名な漫画なので、すでに読まれている方にとっては今更感があるかもしれません。

GIANT KILLING(1) (モーニングコミックス)

GIANT KILLING(1) (モーニングコミックス)


物語の概略をお話したいと思います。

この物語は、主人公(達海)が以前自分が所属していたチームの監督として戻ってくるところからはじまりますが、達海は普通のやり方をしません。 たとえばチーム内で紅白戦をするときにも、過去の実力や経験ではなく、足の速さでレギュラー組と控え組に分けて試合をしたり、練習をするときも、監督である達海は何も指示を出さずに「自習」をさせたり。

この達海のやり方に対して、前向きに捉える選手もいれば批判的に捉える人もいて、チームにはチームワークが生まれるどころか、邪険な空気が生まれていきますが、これは達海が意図したことでした。

f:id:copilot:20190218113511p:plain

チームに混乱を生み出していく一方で、達海は選手個人のことをしっかりと見つめています。

これまでチームのキャプテンを担ってきた選手に対しては、その負担・苦労を分かち合いたいというメッセージを投げ、コンプレックスを持っている選手に対しては、コンプレックスがあることが力になるというメッセージを伝えたりしています。

f:id:copilot:20190218113536p:plain

そして、実際の試合に挑むときには、相手のことを徹底的に分析した上で戦略をたて、徐々に結果を出していくのですが、結果が出るようになってからも「挑戦者」であり続けることをチームに求めています。

f:id:copilot:20190218113557p:plain


というストーリーなのですが、 これは、チームの成長プロセスを概念化した「タックマンモデル」と相似するストーリーになっています。

タックマンモデルとは、心理学者のタックマンが提唱したモデルで、チームの成長プロセスを4つのプロセスで定義したものです。

f:id:copilot:20190218113713p:plain (出典:https://www.thecoachingtoolscompany.com/get-your-team-performing-beautifully-with-this-powerful-group-development-model/


①Froming 形成:メンバーはお互いのことを知らない。また共通の目的等も分からず模索している状態。
②Storming 混乱:目的、各自の役割と責任等について意見を発するようになり対立が生まれる。
③Norming 統一:行動規範が確立。他人の考え方を受容し、目的、役割期待等が一致しチーム内の関係性が安定する。
④Performing;機能:チームに結束力と一体感が生まれ、チームの力が目標達成に向けられる。
(出典:https://kotobank.jp/word/%E3%82%BF%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%9E%E3%83%B3%E3%83%A2%E3%83%87%E3%83%AB-1125636


このモデルを参照しながら、ジャイアント・キリングから得られる組織づくり・チームづくりのヒントを整理してみたいと思います。

1)意図的に混乱を作り出す

タックマンモデルのポイントの一つは、Storming(混乱)状態の価値です。より高いパフォーマンスを発揮していくためには、一度、Storming(混乱)状態に入らなければならず、そこではパフォーマンスが落ちることを受け入れなければならないということですが、ジャイアント・キリングの中で達海が当初行ってきたことは、まさに混乱を作り出すためのものでした(前述の紅白戦や自習など)。それをきっかけに選手同士が本音をぶつけ合うようになり、より深いStorming状態に入っていきます。

一方で、無秩序になることを意図しているわけでもありません。 チーム全体に対しては混乱を作り出しながらも、メンバー個人個人とは深い対話を繰り返し、Storming状態でもNormingに向けた準備をはじめています。

2)結果を出しながらNormingしていく

2点目は、結果を出しながらNormingしていったということです。 たとえば達海が監督に就任した直後に行った「紅白戦」ではサブ組がレギュラー組に圧勝するのですが、このような形で1つ1つの勝負で結果にこだわり結果を残していったからこそ、Normingできていったという側面はあるように思います。

※当然、その裏には、勝つための準備(相手チームの分析など)を徹底的に行なっています。

タックマンのモデルでは、Storming・NormingのあとにPerformingがありますが、実際にはこれらは混在しながら進んでいくプロセスではないかと思われます。

3)結果が出てからも、再度、混乱状態を作り出す

3点目としては、結果が出てからも、再度、混乱状態を作り出そうとしていることが指摘できます。 それぞれの選手にいつもとは違うポジションでプレーをさせたり、試合ではあえて何も指示をしなかったり、自らが選手として復帰しようとする姿を見せたり…

※これは、「混乱状態」を作り出しているというよりは、「本質的なイシュー」に向き合わせようとしているアプローチと言えるかもしれません。

そのようなやり取りを通じて、チームはさらに強くなっていくのですが、この点から考えると、タックマンモデルも各プロセスを一度通過して終わりではなく、一連のプロセスが何度も行われる循環的なものであるように思われます。

f:id:copilot:20190218113742j:plain (出典:https://leadersyndrome.wordpress.com/2013/12/22/from-a-group-of-individuals-to-a-performing-team-navigating-the-tuckmans-model/


みなさんの組織・チームでは、本質的なStormingは起こっていますでしょうか?
もし全く無かったら、それはチームとして機能していない証拠なのかもしれません。


(執筆:米山知宏

TOP