コパイロツトは、クライアントやパートナー会社の『copilot / 副操縦士』となって、
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1枚絵で理解するホラクラシー〜始め方〜

前回、ホラクラシーの全体像について、特にRoleの定義とTensionが解消されていくプロセスを中心に説明しました。

blog.copilot.jp

今回は、その内容を踏まえ、どのようにホラクラシーの導入をスタートさせるのか?について、コパイロツトでの実際の導入事例をご紹介します。

1. ホラクラシー導入の5ステップ

「ホラクラシー」では、導入ステップについて以下の5つが必要だと書かれています。

ステップ1:ホラクラシー憲法を採択する
ステップ2:ガバナンスの記録を共有化するシステムを立ち上げる
ステップ3:初期構造を決定する
ステップ4:第一回ガバナンス・ミーティングを開催し、選挙を実施する
ステップ5:定期的な戦術的ミーティングとガバナンス・ミーティングの予定を組む

コパイロツトではまずは「ホラクラシー」の内容を忠実に守り、型通りに進める方針なので、 上記通りに進めました。
ステップ1~5を具体的にどのように進めたのかを1ステップずつ説明します。

コパイロツトでは、ホラクラシー用語について英語のまま使っていますので、ガバナンスはGovernance、戦術的ミーティングはTactical Meetingと以後記載します。

2. ステップ1:ホラクラシー憲法を採択する

ホラクラシー憲法の採択について「ホラクラシー」では以下のように書かれています。

ホラクラシーをあなたの組織(またはチームや部門)の新しい権力構造として採用するためには、まず、正式に権力を保持する人が誰であれ、 その人物は権力をホラクラシーの「ゲームのルール」に明確に委譲しなければならない。
このルールはホラクラシー憲法に正式に記録されている。
したがって、ホラクラシー実践の第一歩は、現在の権力保持者に、組織の権力の座として、この書類を承認させることである。


まず、採択するためには憲法の理解が必要です。
いきなり英語の憲法を読むのは大変なので、日本語訳を参考に理解をしました。

medium.com

英語版はこちらです。

www.holacracy.org

英語版も全て理解する必要性は認識していますが、時間がかかるため、コパイロツトでは、「ホラクラシー」を熟読し、内容を1枚絵にまとめることで、概要を理解し、導入を進める中で日本語訳では分からないところを部分的に、英語の憲法を参照しつつ進めるというやり方でスタートしました。

いよいよ、憲法を採択し、導入です。
採択は、ホラクラシー導入前の最高権力保持者であるRatifiersが行います。コパイロツトでは社長の定金です。
憲法を採択するということは、自分の権力をホラクラシーのルールに委譲するということを意味し、これ以降、ホラクラシーのルール、プロセスに乗っとった組織運営が始まります。

3.ステップ2:Governanceの記録を共有化するシステムを立ち上げる

コパイロツトでは、Governanceの記録を共有化するシステムとしてGlassFrogを導入しました。
理由としては、「ホラクラシー」の中で取り上げられているシステムだったことや、ホラクラシーを提唱している会社が作っているシステムなので、システムを使いつつホラクラシーについても理解を深められると考えたからです。

システムを使うにあたり、使い方ガイドを一通り日本語に訳し、導入の中での疑問点についてはGlassFrog内のホラクラシーコーチによる chatサービスを利用し、適宜質問をして解決をしています。

www.holacracy.org

4. ステップ3:初期構造を決定する

憲法を採択すると組織のAnchor Circleが決まります。
Anchor Circleとは憲法を採択した新しい構造において一番大きなCircleで、憲法により統治される全ての仕事が完全に含まれます。
Ratifiersは憲法を採択する際に、Anchor CircleのLead Linkを任命します。
まずは、初期構造を決めるのは誰で、初期構造とは何か?について説明します。

初期構造を決めるのは誰か?
Anchor CircleのLead Linkです。
初期構造の出発点として「ホラクラシー」ではこのように書かれています。

アンカーサークルのリードリンクには次の責務がある。 「組織の歴史、現在の能力、使用可能なリソース、パートナー、特徴、文化、事業構造、ブランド、市場についての理解その他関連性があると思われる他のすべてのリソースと要因を含めて、組織に作用しているあらゆる制約と使用可能なすべてのものを考慮して、組織が世界において持続的に発揮でき、組織に最もふさわしい、潜在する究極のクリエイティブな能力を発見して明確にしていく」 憲法では組織の目的を以上のように正式に規定している。



初期構造とは何か?
初期構造とは、以下の4つです。
(1)Anchor CircleのPurpose、Accountabilitiesの設定、Anchor CircleのRole、Sub-Circleの新設とPurpose、Accountabilitiesの設定
(2)Anchor CircleのPurposeの指標として、Metricsを設定
(3)Metricsを報告するAnchor CircleのRoleの決定
(4)Anchor CircleのRoleへの人のアサイン決定

これら4つすべてLead LinkのAccountabilitiesであり、Lead Linkが行います。
実際にやってみて、Lead Linkは責任重大で大変だと思いましたが、「ホラクラシー」の中でも初期構造に完璧を求める必要ないと書かれていますし、あまり、気負う必要はないということをLead Linkに任命された人だけでなく、周りも理解しておく必要があります。

この4つのAccountabilitiesのうち(1)は初期構造を作るときのみLead Linkが行使できるもので、以後Governance Meetingで話し合いを行い、新設、削除、変更を行います。

ホラクラシーはあなたの組織の構造を時間とともに進化させる生きたシステムだから、初期構造はガバナンス・ミーティングを開くたびに変化していくだろう。 当初のクライアント企業では、ホラクラシー導入から一年ほど経過すると、はじめに使っていた構造は跡形もなくなっているのが普通である。


「ホラクラシー」では初期構造を作る手法について、このように書かれています。

初期構造を描くためによく使われる方法は、既に活動している部門やチームを単純にサークルに置き換えて、サークルを設定することである。さらに、既に明確に発生している仕事を捉えて、各サークル内で単純な役割を設定する。


また、「ホラクラシー」では初期構造を作る上でのポイントを以下のように示しています。

存在すべきとか発生すべきとあなたが考えるものではなく、既に存在するもの、発生しているものを捉えて初期構造を決定しよう。 先回りする必要はない。目標は、組織内の誰もが少なくとも一つの役割を担当できるようにすること、その役割は少なくとも一つの目的か一つの責務が付与されていること、 そしてそれらの役割が、まず初期サークルの中にグループ化されていることである。 既に発生しているものをそのままベースにしよう。

以下、社内でホラクラシーの説明会を実施した際のQAです。

Q1.初期構造を作るときにCircleにすべきかRoleにすべきか迷います。
A1.上記でも記載したように、既に存在する構造をそのまま置き換えるのが良いと思います。 会社の規模にもよりますが、小規模であるコパイロツトで導入した所感として、ある程度の規模がある部署や部門をCircleとし、小規模であれば、Circleではなく、Anchor CircleのRoleとし、複数人アサインし、それぞれFocusを定義する方が始めやすいと思います。
Circleを作る場合は、必ずCore Rolesの設定が必要となりそれなりの人数が必要な上、設定すべきMeetingも増え、煩雑になるからです。

Q2.Anchor CircleのLead LinkはSub-Circleの新設とPurpose、Accountabilitiesの設定をするとありますが、Sub-CircleのRoleは新設しないのですか?
A2.CircleごとにLead Linkが存在します。
なので、Anchor CircleのLead LinkはAnchor Circleの中にRoleかSub-Circleを新設し、Sub-Circleの場合は、Sub-CircleのLead Linkを任命するところまでがAccountabilitiesとなり、 Sube-Circle内の初期構造の設定はSub-CircleのLead Linkが行います。

Q3.Anchor Circleの初期構造を作るのはAnchor CircleのLead Linkというのは分かったけれど、これ以降、新しくCircleを作る場合は誰が初期構造を作るのですか?
A3.ホラクラシーはCircleの入れ子構造で成立しているので、「Anchor CircleのLead Link」という部分を「 Sub-CircleのLead Link」と読み替えてください。
規模が小さくなるだけでやることは同じです。

5.ステップ4:第1回Governance Meetingを開催し、選挙を実施する 

選挙はホラクラシーで開催される2種類のMeeting、Governance MeetingとTactical Meetingのうち前者に当たります。
「ホラクラシー」に記載されている進め方は以下です。

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Governance Meetingのプロセス

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Governance Meetingのプロセス「4.統合的選出プロセス」の詳細

この手順で行いましたが、テレカン参加者がいたため、ここに記載されている「投票用紙」を「Slackのスレッドへの投稿」と置き換え、推薦者を記入し同時に投稿するというやり方をしました。

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選挙の様子。左画面はGlassFrogを映し、右画面は進め方の資料と参加者を写しています。



実施した結果と所感

決められた手順に沿って実施するので、あまり時間はかからず、4つのCore Rolesを決定するにあたり30分程度で決まりました。
最初に進め方のフローと諸注意事項(Lead LinkはSecretaryとRep Linkにはなれない)ということを参加者全員にインプットしている状態だとスムーズです。

実施した感想として、統合的選出プロセスの2.推薦で、投票者はなぜその人を推薦したのか?理由を述べますが、そこで推薦された人はCircle Memeberからどのように見られているのか、何を期待されているのかが明確に分かり、Roleに対する責任感が生まれる良い場だと感じました。
また、導入初期はCore Rolesは何をすべきか実践が伴わず、あまり理解できていない状態だと思います。
このプロセスを踏むことで、何をすべきなのか?を再認識できることも合わせて実感しました。

6.ステップ5:定期的なTactical MeetingとGovernance Meetingの予定を組む

「ホラクラシー」では、Tactical Meetingの開催頻度は週1回、Governance Meetingの開催頻度は月1回が良いとされています。
ただし、慣れるまでは、開催頻度を高くしたり、開催時間を長くしたりと柔軟な対応が必要となります。

誰が予定を組むのか?開催頻度を決定するのか?
SecretaryのAccountabilitiesです。
Secretaryに決定権があり、注意すべき点として「ホラクラシー」では以下のような例が示されています。

あるサークルのセクレタリーが、隔週のガバナンス・ミーティングをスケジュールしておいたところ、ある朝、CEOが「海外出張に出るので、次のミーティングには出られない。だからスケジュールし直してくれ」と告知したのだ。 自分が関与すべき大事な議題がミーティングで話し合われることを懸念したからである。

ホラクラシー憲法では、サークルのガバナンス・ミーティングと戦術的ミーティングの日程を組んだりキャンセルしたりすることは、選出されたセクレタリーに権限が与えられている。
日程をいつにすべきかに関して、誰でも情報を提供できるが、それを考慮するかしないかを決める権限は、セクレタリーにあり、その件を追求する必要はない。

7.まとめ

ここまでの5つのステップを踏むことでようやく感知されたTensionを中心に回すためのホラクラシー運営の準備が整いました。
以下の図で表したようなCircle運営が始まります。

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日々のCircle運営全体像

次回は具体的にそれぞれのMeetingでTensionをどのように扱うのか、Meetingの進め方を中心に説明します。

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